研究実績の概要 |
2018年度にはそれまで3年間の研究成果を振り返り,全体を総合的に検討した上で3つの小課題に組み直して,それぞれ有意義な発展を遂げた.そして,それらの成果の発表および討論の場として,2019年3月に国際会議CTFM 2019を中国の武漢理工大学で開催した.最終年度の2019年度においては,そこでの発表・討論の話題から広く公表する価値のある結果を選んでプロシーディングスとして出版する予定であった.しかし,新型コロナ・ウィルスの蔓延により,プロシーディングス作成の会議は開催順延を繰り返し,結局2年の延長期間にオンラインで度々打合せ行い,漸く2022年中の出版の見通しが立った.この間,小テーマに関する研究は,以下に述べるようにそれぞれ想定以上に進展しており,それらの一部は次期研究計画の一環に継承されるはずである. 1.逆数学と超準的手法.分担者の横山らは超準モデル論の手法に,順序数解析や強制法を組み入れることで,2 次元Ramseyの定理を特徴付ける関数を特定した.この融合手法を応用して,さらに多くの組み合わせ命題の証明論的強さを調べた.また,EnayatとWangによるAvigadの強制法を応用する技法を用い,ラムゼイの定理や採集原理を用いた証明を帰納法公理のみを用いた証明に多項式サイズで変換できることを示した. 2.Weihrauch次数と開ゲーム.分担者の木原が中心になり,2階算術における算術的超限再帰 (ATR) 周辺に相応する Weihrauch 次数の理論を整備し,この文脈で ATR, Σ^1_1-選択公理, Σ^1_1-従属選択公理などの関係を調べた. 3.代表者らは,AND-OR均整木(多分岐)において固有独立分布(ID)は独立同分布(IID)になることを証明し,さらに非均整木において固有独立分布(ID)に少し条件を加えると比例独立分布(PID)になることを示した.
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