研究課題/領域番号 |
15H03636
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
神保 雅一 中部大学, 現代教育学部, 教授 (50103049)
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研究分担者 |
栗木 進二 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00167389)
三嶋 美和子 岐阜大学, 工学部, 教授 (00283284)
繆 いん 筑波大学, システム情報系, 教授 (10302382)
佐藤 潤也 名古屋大学, 情報学研究科, 准教授 (20235352)
澤 正憲 神戸大学, システム情報学研究科, 准教授 (50508182)
金森 敬文 名古屋大学, 情報学研究科, 教授 (60334546)
籾原 幸二 熊本大学, 教育学部, 准教授 (70613305)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 組合せデザイン / 組合せ符号 / locating array |
研究実績の概要 |
符号 球面デザイン グループテストに共在する組合せ構造には組合せデザインが深く関係する.平成29年度は下記のテーマに関して研究を推進した. (1)巡回群の多重分解問題の研究および巡回型の組合せデザインの軌道のspread分解の研究(担当:神保,三嶋,籾原,佐藤):巡回群の分解問題は,タイリングなどに関連する話題である.平成28年度中に巡回群の多重分解問題について,lcm-closureの概念を導入して,多重分解の存在について既知の結果を含むより広い条件を見出し,平成29年度はその結果を論文としてまとめて,国際誌に投稿した.現在査読中である.また,巡回型の組合せデザインのうち,特に,射影幾何の直線の軌道のspread分解問題に取り組み,(1)の結果を用いて,各軌道が多重spread分解可能となる条件を見出し,ある種の射影幾何について,数論の結果を用いて,多重spreadの数を明示的に求めた,その結果を現在論文としてまとめている. (2)最小距離が大きい巡回符号の構成法と組合せデザインとの関係の研究(担当:神保,繆,籾原):平成28年度までに見出した結果をさらに一般化して,符号長に比例する最小距離を持つ巡回符号の構成法を見出し,符号の次元を明らかにした.この結果を論文としてまとめ,投稿中である. (3)球面デザインの統計的最適性(担当:神保,澤,金森):澤氏を中心として,金森氏の支援を得て,統計敵に最適な球面デザインおよびEuclidデザインを構成する方法を見出し,論文としてまとめた. (4)locating arrayの構成法(担当:神保,繆,栗木):今年度は,t-way interactionを識別するlocating arrayの構成法をPayley typeのarrayを用いて構成する方法を見出してその証明をし,現在論文としてまとめている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は下記の成果を得ており,おおむね順調に研究が進展していると思われる. (1)巡回群の多重分解問題にlcm-closureの概念を導入して,従来の結果を含むより一般的な条件を見出して,論文として投稿した. (2)最小距離が符号長に比例するBCHタイプの符号を構成する方法を与え,さらにその符号の次元を明らかにし,論文としてまとめ,国際誌に投稿した. (3)locating arrayについて,任意のt-way interactionの識別ができるPaley型の構成法を与えた.この構成法はtの大きさに依存してarrayのサイズが充分大きいときに構成可能であり,これまでに任意のtについて,構成法を与える方法は知られていなかった.さらに,本構成法はlocating arrayの観測値にerrorがある場合にも適用できることを示した.本成果は現在論文としてまとめている.
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は,下記の研究テーマについて,対象とする組合せ構造が共有する数理的・組合せ論的特徴に注目しながら研究を推進していきたい. (1)巡回型の組合せデザインの巡回軌道の分解問題の研究:平成29年度までに,射影幾何の直線の巡回軌道の多重spreadへの多重分解問題についての結果を得た.平成30年度はその成果を論文としてまとめて国際紙に投稿すると共に,一般の巡回型デザインのブロック軌道のresolvable classへの分解問題にその成果を適用してより一般的な成果を得たい.また,より一般的な自己同型群を持つデザインについてもブロックのなす軌道のspread分割問題を考えて行きたい (2)最小距離が大きい巡回符号の構成法と組合せデザインとの関係:BCH符号の構成法を適用して,最小距離を大きくする構成法については,昨年度までに,結果が得られたため,平成30年度はその組合せ構造に注目し,彩色デザインの構造との関係を明らかにしていきたい. (3)グループテストとlocating arrayの類似性に構成法および識別アルゴリズムの研究:昨年度まで,locating arrayおよびfinger print codeの研究を行ってきたが,本年度は,特に,テスト回数が要因数の対数オーダー程度の漸近的に最適なlocating arrayの理論的構成法を数論的観点から考察してみたい.また,locating arrayの観測値が0, 1でない場合のinteractionの識別アルゴリズムの問題とseparable codeと呼ばれるfinger print codeの組合せ構造についても研究を推進したい. そのために,国内外の研究者との研究情報交換を密にして行きたい.
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