研究課題
太陽コロナはダイナミックに活動する多様なプラズマで満たされており、未解明である諸現象(リコネクションに関連するショック構造、粒子加速、コロナ加熱など)の物理を解明するためには、プラズマの空間構造、時間変化、エネルギー分布を同時に測定する必要がある。だが、これまでの紫外線・軟X線波長域でのコロナ観測では、これらを同時に実現することが困難であった。しかし、近年の技術発展により、太陽軟X線の光子1個が検出器に入射するレートよりも速く連続的に撮像することが可能となりつつある。これにより、太陽軟X線の光子1個1個の持つエネルギーを、位置情報・時間情報とともに取得すること、つまり3つの情報の同時取得に道筋が見えてきた。そこで本研究では、1秒間に1,000回の高速連続撮像を行う「軟X線用の高速度CMOSカメラ」と「高速データ処理を行う専用モジュール」を開発し、太陽コロナから放射される軟X線光子(0.5~10keV)のエネルギーを1光子毎に計測する光子計測型・撮像分光・軟X線望遠鏡の為の「光子計測システム」の実現を目指している。平成27年度は、高速度カメラに用いる裏面照射型CMOSセンサーの選定と評価を完了した。平成28年度は、本研究で開発を進めている「軟X線・光子計測システム」の、観測ロケット実験 FOXSI-3(平成30年夏の打ち上げ)への搭載が決まった。そこで、FOXSI-3 に搭載する光子計測システムのスペックを決定し、軟X線・光子計測システムのプロトタイプを完成させた。本年度(平成29年度)は、FOXSI-3 に搭載する軟X線・光子計測システム(フライト品)を完成させた。また、本研究で実施した軟X線・光子計測システム開発の成果を受けて、「磁気リコネクションに伴う粒子加速の理解」を科学目的とした衛星計画 PhoENiX (次期太陽活動極大期(2024年頃)の打ち上げ)の立案も行った。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
本研究で推進している軟X線・光子計測システムの開発について、日経産業新聞で紹介された(平成29年12月12日朝刊)。
すべて 2018 2017 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 4件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section A
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
Nature Astronomy
巻: 1 ページ: 771~774
10.1038/s41550-017-0269-z
http://www.phoenix-project.science/