本研究では、太陽系外惑星(以後、系外惑星)大気の分析という長期目標を見据え、そのための分光素子を開発実証する。ここで、系外惑星大気の分析のためには、一般に検討されている複数の方式のうち、トランジット法による観測に適用することを想定する。いわゆるトランジット法のためのミッションには、多数の系外惑星を検出することを目指すミッションと、既知のトランジット惑星を精査する宇宙望遠鏡ミッションが考えられる。本研究で想定するのは後者の用途である。また、本研究では宇宙望遠鏡に適用することを想定する。その理由は、高い安定性が期待できること、地上からは観測が困難な波長域にある大気の分光的特徴を観測可能であること、等である。より具体的には、地上望遠鏡では高精度の観測が困難な波長域に、系外惑星大気を特徴づける各種の吸収線が存在するからである。
本研究における開発は、そのような系外惑星観測の要となる、分光素子を実現するため、材料選定、加工法の最適化から行うものである。基礎的な段階においては、時間や費用を効率的に利用するため、小片サンプルを製作した。小片サンプルは、数ミリから数センチのサイズを持つ。得られたサンプルの微小な表面構造を評価した。より具体的には、顕微鏡型干渉計 (ZYGO/NewView)、原子間力顕微鏡 (AFM) 等を用いて行った。
今年度は研究計画の最終年度であり、予算規模も小さい。内容としては、研究のまとめ、議論、対外発表を行った。より具体的な作業としては、開発した素子と組み合わせる宇宙望遠鏡に関連して、金属加工を用いた軽量鏡についてサンプルの試作等を行った。
|