研究課題
我々は2つのマグネター4U 0142+61および1E1547-54で、硬X線パルスがパルス周期の1万倍程度の長い周期で位相変調を受けていることを発見した。これは星内部に10の16乗に達するトロイダル磁場が内在し、その応力で星が0.01%ほど変形して自由歳差運動が起き、それと自転周期との「うなり」が数十ksecに現れたと解釈された。この発見をさらに推進するため、本研究では以下の3つの研究を行った。第1の研究として、 硬X線感度のよい米国のNuSTAR衛星を用い、上記の発見の追確認を行った。4U 0142+61のアーカイブデータからは、55 ksecの位相変調が再確認され、「すざく」の観測時点に比べて変調振幅が1/5に減少していることを発見した。これは硬X線の発生領域が、自転軸の回りにより軸対称に近づいた結果と解釈される。結果は論文にまとめられ、間もなく投稿予定である。我々の観測提案に基づきNuSTARで取得された1E1547-54では、アウトバースト時に行われた「すざく」の時より強度が大幅に減少したが、8-25 keVエネルギー帯で36 ksecの位相変調を追認することに成功した。論文は準備中である。第2は「すざく」のアーカイブを用い、自由歳差運動を行うマグネターの例を増やすことである。2009年と2010年に観測された自転周期 11.01秒のマグネター 1RXS J1708-40 のデータを解析した結果、2010年のデータから、周期 48 ksecで硬X線パルスの位相変調を検出することに成功した。こちらも論文を準備中である。第3には、国際宇宙ステーション搭載MAXI装置などを用いていくつかの連星X線パルサーを観測し、光度とパルス周期変化率の相関を調べた結果、X Perseiなど数例は、マグネター並の超強磁場を持つ可能性が高まった。前駆的成果は論文として公表済。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
Publications of the Astronomical Society of Japan
巻: 69 ページ: id100, 21pp
10.1093/pasj/psx119
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巻: 231 ページ: id.8, 21 pp
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