研究課題
ニュートリノ質量分光において,ラダー型対向励起の励起波長を大きくアンバランスにすることにより,ニュートリノの質量様式や宇宙背景ニュートリノ検出に高い感度を持つ実験が可能となることを理論研究により明らかにし,論文として出版した.これに関連して,パラ水素を用いた二光子超放射過程(Paired Super-Radiance, PSR) の詳細を理解する研究も同時に進めた.PSRは本研究課題提案以前にすでに実現できていたが,トリガ光の周波数依存性や,コヒーレンスの大きさと二光子放出レート増幅率の関係など,その詳細についての研究は進んでいなかった.また,従来のPSR実験ではラマン型の同方向励起でコヒーレンスを生成しており,対向励起によるPSRは実現できていなかった.本年度の研究では(1)PSR出力光強度のトリガ光周波数依存性を数値シミュレーションと実験で詳細に比較し,PSR過程の本質を調べる研究; (2)ニュートリノ質量分光に必須の高密度環境を実現する固体パラ水素を用いたPSR実験; (3) ラダー型励起によるコヒーレンス生成およびPSR実験;の3点を進め,それぞれの成果を論文として出版した.また,前年度から引き続きXe励起用の波長596nmおよび298nmの光源開発を進めた.当初開発を進めていたチタンサファイアレーザーシステムでは十分な出力が得られないことが判明したため,非線形波長変換を用いたシステムに急遽構成を変更した.最終的に生成した596 nmは18 mJ,298 nmは8 mJであり十分な出力が得られた.線幅は250 MHzでありフーリエ限界に近い値が得られ,当初の目標通りの性能を持つ光源開発に成功した.開発した光源を用いてXeを第一励起状態へ励起する実験を進めた.入射光によるXe原子のイオン化を観測し,励起に十分な光強度が得られていることを確認した.
29年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2018 2017 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 2件) 備考 (1件)
Journal of Physics B: Atomic, Molecular and Optical Physics
巻: 51 ページ: 015401~015401
10.1088/1361-6455/aa9782
Physical Review A
巻: 96 ページ: 063827
10.1103/PhysRevA.96.063827
Physical Review D
巻: 96 ページ: 113005
10.1103/PhysRevD.96.113005
The Journal of Physical Chemistry A
巻: 121 ページ: 3943~3951
10.1021/acs.jpca.7b02011
http://www.xqw.okayama-u.ac.jp