研究課題/領域番号 |
15H03672
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
酒井 英行 国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器センター, 部長 (90030030)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 実験核物理 / アイソマービーム / 荷電交換核反応 / ガモフテラー遷移 |
研究実績の概要 |
高温高密度状態にある星の内部や(超)新星爆発過程では、原子核の励起状態を経由する核反応やベータ崩壊は重要な寄与をする。しかしながら、励起状態核を標的とする核反応実験は従来不可能だと考えられ研究されたことがなく情報が全くなかった。アイソマーを含んだ不安定核ビームを利用すれば、励起状態を標的とする核反応を実現させられる。本研究では、基盤的技術である、励起状態アイソマーの弁別手法(アイソマータッギング)を開発するのが目的である。 アイソマー状態核の弁別が本研究の成否をきめる。弁別は、不安的核製造分離ビームライン(BigRIPS)における二次粒子の飛行時間測定により行う(TOF法)。そこでは超高速ビーム検出器とその測定回路系が本質的役割を果たす。そのために昨年度、早い回路系の整備と開発を行った。手持ちの小型多結晶ダイヤモンド検出器を用いて、理研RIBFからの二次RIビームでテスト実験を行った。その結果、例えば54Ca近傍核で、ダイヤモンドの固有時間分解能5ps(シグマ)、ダイヤモンド+TOF計測システムによる時間分解能12ps(シグマ)という結果を得た。これは28ps(FWHM)時間分解能(2台の検出器合計で40ps(FWHM))の達成を当初目論んでいたが、この結果はまさに当初目標を完璧に達成できたことを意味する。 結果は、2016年3月19日に仙台で開催された日本物理学会に於いて口頭発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
アイソマー状態核の弁別が本研究の成否をきめる。弁別は、不安的核製造分離ビームライン(BigRIPS)における二次粒子の飛行時間測定により行う(TOF法)。そこでは超高速ビーム検出器とその測定回路系が本質的役割を果たす。そのために昨年度、早い回路系の整備と開発を行った。手持ちの小型多結晶ダイヤモンド検出器を用いて、理研RIBFからの二次RIビームでテスト実験を行った。その結果、例えば54Ca近傍核で、ダイヤモンドの固有時間分解能5ps(シグマ)、ダイヤモンド+TOF計測システムによる時間分解能12ps(シグマ)という結果を得た。これは28ps(FWHM)時間分解能(2台の検出器合計で40ps(FWHM))の達成を当初目論んでいたが、この結果はまさに当初目標を達成できたことを意味する。結果は、2016年3月19日に仙台で開催された日本物理学会に於いて口頭発表した。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの進捗状況で報告したように、昨年度購入した高速プリアンプ(CIVIDEC社製)を用いて測定回路系を整備し当初目標を上回る時間分解能を得た。いよいよ今年度は、単結晶ダイヤモンド検出器(5mm×5mm×0.2mm アドフューテック社製)を開発・購入し、最終形に近い検出器と測定系をテストし、来年度の本実験を目指す。 最終実験の前にアイソマー製造効率(アイソマー比Rと呼ぶ)を調べておくことが必要不可欠である。その目的のために、NIRS-HIMACからの重イオンビームを使いテストすることとした。昨年度共同利用実験に連携研究者の矢向を責任者としての申し込み採択された。今年度、このアイソマー比測定実験を遂行する予定である。
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