研究課題
B20型遷移金属化合物Fe1-xCoxSiに軌道角運動量を持つラゲールガウスビームを照射し、溶融再凝固が生じた箇所近辺を放射光X線イメージングすることにより、光角運動量移行が結晶カイラリティに与える影響の可視化に取り組んだ。左右円偏光反転比の測定精度向上により、レーザーパルス照射痕周辺の結晶カイラリティの変化を捉えることに成功した。同一結晶粒に左右双方のラゲールガウスビームが同様の変化を生じるなど、この物質の再凝固層の結晶カイラリティは光角運動量の向きだけでは決まらないことが明らかになった。一方、浮遊帯域法を用いて結晶カイラリティを単一化したx=0, 0.5, 1の大型単結晶の育成が可能になった。らせん状の原子変位モードが凍結して構造相転移を起こすCsCuCl3に関しては、このソフトフォノンを不斉励起することにより結晶カイラリティが転換できると考え、ラゲールガウスビームの照射条件の探索を進めた。レーザーエッチングにより脆弱結晶の極薄板試料作製を実現し、透過型偏光顕微鏡によるカイラリティドメインの観察を可能にした。照射フルエンスと試料温度を変えた測定を多数行い、試料の損傷閾値以下のフルエンスでは構造相転移温度の直上・直下(1 K以内)でも、レーザーパルス照射位置近傍に結晶カイラリティの変化は観測されないことが明らかになった。水溶液からのCsCuCl3の結晶化に関しては、過飽和状態を実現する温度濃度条件を探索し相図を完成させた。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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