研究課題
BiS2 系層状超伝導体の純良単結晶を用いた物性測定を進めた。Pr系では、Pr4f電子の磁気異方性がキャリア密度に大きく依存し、キャリア密度の増大とともに異方性が消失していく振る舞いを見出した。La系では、精密に磁場方向を制御した磁場中電気抵抗測定を香港中文大学グループと行い、超伝導の磁気異方性を明らかにした。コヒーレンス長が約20倍の異方性を持つこと、面内上部臨界磁場がPauli限界磁場を超えること(局所的空間反転対称性が破れたBiの6p電子に働く強いスピン軌道結合に起因)、波数空間内で超伝導ギャップの大きさが異方性を持つこと(上部臨界磁場の異常な温度依存性より)、などを明らかにした。Eu3Bi2S4F4では、初めての単結晶育成に成功した。2.2 K以下の反強磁性状態でメタ磁性異常を見出し、Eu秩序磁気モーメントがz軸方向を向いていることを初めて明らかにした。また、育成した純良単結晶試料を用いて、国内外の研究グループと多面的な共同研究を進めた。空間分解ARPES測定により、CeOBiS2の欠陥近傍に金属的領域が形成されていることを見出した。この局所的金属化は、欠陥によるBiS2層の局所的対称性の破れとCe価数のズレが協調し、自己キャリアドープが起こったものと理解できる。さらに、BiS2系と同様にファンデルワールス積層構造を持つワイル半金属WTe2へと研究を発展させた。残留抵抗比が1300以上に達する世界最高レベルの高純度単結晶育成に成功した。低温9Tの磁場中で1,500,000%もの巨大磁気抵抗効果を示すことを確認した。電子輸送効果の精密測定を行い、3 K以下の低磁場領域でHall抵抗が正へと符号反転していることを発見した。電子と正孔の移動度が、互いに異なる特異な温度依存性を持つことを示唆しており、本系のトポロジカル電子状態を究明する上で重要な特徴であると考えられる。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
新規超伝導体の母物質CeOBiS2における非従来型の量子臨界的挙動を紹介。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 4件、 査読あり 9件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 4件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
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