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2017 年度 実績報告書

フィードバックマイクロレオロジーによる細胞力学の観測

研究課題

研究課題/領域番号 15H03710
研究機関九州大学

研究代表者

水野 大介  九州大学, 理学研究院, 准教授 (30452741)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードマイクロレオロジー / 混みあいガラス / 細胞力学 / "活きの良さ"
研究実績の概要

細胞は、必要に応じてその力学的性質を変化させて、多彩な機能を果たす。ガラスやゲル等の単なる“モノ”の性質を変えるには、その物質や構造を作り換える必要があるが、細胞のような“生き物”のダイナミックな柔軟性・順応性を説明するためには、もっと容易にその性質を変えられる仕組みが必要である。細胞の中身はとても混み合っていて、さらに、モータータンパク質が生み出す力によって掻き乱されている。したがって、混み合いや掻きまぜによって、細胞の力学的な性質が大きく変化するのであれば、そこに“モノ”とは異なる“生き物らしさ”が生まれる可能性がある。そこで、混み合いと掻きまぜの影響を調整した試料の力学的性質を比較検討して、生き物らしい性質が生まれる仕組みを明らかにした。
まず、細胞の膜を壊して中身だけを取り出した細胞抽出液を用意し、掻きまぜの影響を除去した状態で、この細胞抽出液に含まれる中身の濃度を変化させながら力学的性質を測定した。すると、わずかな濃度の増加で粘性率が急激に上昇(発散)し、固化することが分かった。驚くことに、抽出された細胞の種類に依らずにヒトもバクテリアも、卵細胞も組織細胞も同じように変化して、生きた細胞内の濃度(~300mg/ml)よりも低い濃度で固化することも分かった。
生きた細胞も抽出液のように固まってしまうと、細胞内部で必要な物質を合成して、必要なところに送ることが出来ない。そこで、中身の濃度を変化させながら生きた細胞の力学的な性質を計測して、生きた細胞も本当に固まってしまっているのか調べた。抽出液と内容物は全く同じであるにもかかわらず、抽出液とは異なり、生きた細胞内部は流動性を保っていた。また、中身の濃度と粘性率の間の関係性も細胞抽出液とは全く違いました。これを詳しく解析した結果、生きた細胞と抽出液の違いを生み出す原因が、細胞内部の掻きまぜにあることが分かった。

現在までの達成度 (段落)

平成29年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

平成29年度が最終年度であるため、記入しない。

  • 研究成果

    (17件)

すべて 2019 2018 2017 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 7件、 招待講演 6件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Nonequilibrium Energetics of Molecular Motor Kinesin2018

    • 著者名/発表者名
      Ariga Takayuki、Tomishige Michio、Mizuno Daisuke
    • 雑誌名

      Physical Review Letters

      巻: 121 ページ: 218101

    • DOI

      10.1103/PhysRevLett.121.218101

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Nonequilibrium Energetics of Single Molecule Motor, Kinesin-12018

    • 著者名/発表者名
      Ariga Takayuki、Tomishige Michio、Mizuno Daisuke
    • 雑誌名

      Biophysical Journal

      巻: 114 ページ: 509a~509a

    • DOI

      10.1016/j.bpj.2017.11.2783

  • [雑誌論文] Feedback-tracking microrheology in living cells2017

    • 著者名/発表者名
      Nishizawa Kenji、Bremerich Marcel、Ayade Heev、Schmidt Christoph F.、Ariga Takayuki、Mizuno Daisuke
    • 雑誌名

      Science Advances

      巻: 3 ページ: e1700318

    • DOI

      10.1126/sciadv.1700318

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Universal glass-forming behavior of in vitro and living cytoplasm2017

    • 著者名/発表者名
      Nishizawa Kenji、Fujiwara Kei、Ikenaga Masahiro、Nakajo Nobushige、Yanagisawa Miho、Mizuno Daisuke
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 7 ページ: 14883

    • DOI

      10.1038/s41598-017-14883-y

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Non-Gaussian limit fluctuations in active swimmer suspensions2019

    • 著者名/発表者名
      T. Kurihara, Y. Ando, I. Zaid and D. Mizuno
    • 学会等名
      American Physical Society, March meeting
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 光捕捉とレーザー干渉法による細胞内揺らぎと力学の観測2019

    • 著者名/発表者名
      水野大介
    • 学会等名
      日本光学会・レーザー学会共催シンポジウム
    • 招待講演
  • [学会発表] 光捕捉とレーザー干渉を用いた細胞力学計測2019

    • 著者名/発表者名
      水野大介
    • 学会等名
      サイズ生物学ワークショップ2019
    • 国際学会
  • [学会発表] Non-Gaussian limit fluctuations in active swimmer suspensions2018

    • 著者名/発表者名
      水野大介
    • 学会等名
      アクティブマター研究会2018
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 細胞サイズと力学特性2018

    • 著者名/発表者名
      水野大介
    • 学会等名
      2017年度生命科学系学会合同年次大会
    • 招待講演
  • [学会発表] Universal glass-forming behavior of in vitro and living cytoplasm -its similarity to droplet suspensions?-2018

    • 著者名/発表者名
      Daisuke Mizuno
    • 学会等名
      EMBO | EMBL Symposium: Cellular Mechanisms Driven by Liquid Phase Separation
    • 国際学会
  • [学会発表] 細胞内部のレオロジーと活きの良さの測り方2018

    • 著者名/発表者名
      水野大介
    • 学会等名
      第66回レオロジー討論会 第20回 レオロジーフォーラム
    • 招待講演
  • [学会発表] Nonequilibrium fluctuations and energetics of molecular motors in vitro and in vivo2018

    • 著者名/発表者名
      Daisuke Mizuno
    • 学会等名
      The 79th Okazaki Conference, Synthetic, Biological, and Hybrid Molecular Engines
    • 国際学会
  • [学会発表] アクティブガラスとしての細胞、および、細胞質の力学的性質2018

    • 著者名/発表者名
      水野大介
    • 学会等名
      東京大学物性研究所短期研究会「ガラス転移と関連分野の最先端研究」
    • 招待講演
  • [学会発表] Non-Gaussian limit fluctuations in active swimmer suspensions2018

    • 著者名/発表者名
      Daisuke Mizuno
    • 学会等名
      Soft matter physics:from the perspective of the essential heterogeneity
    • 国際学会
  • [学会発表] Glassy dynamics of cell interiors studied with feedback-tracking microrheology2017

    • 著者名/発表者名
      水野大介
    • 学会等名
      アクティブマターの概念で繋ぐ生命機能の階層性
    • 国際学会
  • [学会発表] FDT violation and Glassy Dynamics in active cell interior2017

    • 著者名/発表者名
      水野大介
    • 学会等名
      揺らぎと構造の協奏 第4回領域研究会
  • [備考]

    • URL

      http://bio2.phys.kyushu-u.ac.jp/

URL: 

公開日: 2019-12-27  

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