研究課題
平成29年度は特にこれまでに進めてきたキネマティックGNSS解析の高度化,キネマティックGNSS時系列を定量的に評価するための精密可動台の開発,ひずみ計を用いた震源断層即時推定手法の開発等の個々の要素開発を継続して実施するとともに,それらを統合して解析するためのプロトタイプシステムの開発を進めた.要素技術としてはキネマティックGNSS解析の高度化の一環として,GNSS搬送波位相変化から直接断層すべりを推定する手法の地震時すべりへの適用可能性を検討した.本検討においては2016年熊本地震をその対象イベントとした.その結果,同手法によってあらかじめ仮定した1枚矩形断層上でのすべり量を比較的正確に再現可能であることを明らかにした.さらに断層面を多数の要素に分割し,その上でのすべり量を推定するように手法を拡張しても同様に地震時すべり量を推定可能であることを示した.これらの成果は,キネマティックGNSS解析によって座標値を推定せずに目標とする断層すべりを推定可能であることを示し,プレート境界など,既知の断層面におけるすべりのモニタリングの観点から重要な成果である.また通常のGNSS解析をしないという観点での計算コストの大幅な低減や,未知パラメータ間の分離精度を向上させられる可能性など,今後の発展性も大きい技術と考えられる.これらの成果については査読付き英文論文誌に投稿準備中である.さらに昨年度まで進めたひずみ計を用いた震源断層即時推定手法についてもその成果をまとめ,査読付き英文論文誌に投稿済である.このように本科研費の最終年度である平成29年度には新規技術の開発を進めるとともに,その成果の取りまとめを平行して実施した.
29年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2018 2017 2015
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (17件) (うち国際学会 12件、 招待講演 6件) 産業財産権 (1件)
J. Disaster Res.
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
J. of Supercomputing
Sci. Adv.
巻: 3 ページ: e1700113
10.1126/sciadv.1700113