研究課題/領域番号 |
15H03723
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田中 潔 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (20345060)
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研究分担者 |
柳本 大吾 東京大学, 大気海洋研究所, 助教 (40260517)
西垣 肇 大分大学, 理工学部, 准教授 (70253763)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 海洋物理学 / 沿岸海洋力学 |
研究実績の概要 |
大陸棚縁辺における内部潮汐過程(大洋で生成される通常の潮汐流が大陸棚縁辺の大陸棚斜面上を流れるときに、鉛直断面内で流れの収束・発散が生じ、二重潮等の内部モードの流れが作られる過程)の実態を解明するために、数値実験および係留系や船舶による観測研究を実施した。数値実験においては、内部潮汐過程を適切に再現することが可能な非静水圧モデルを開発し、三陸沿岸の現実的な海洋条件をモデルに与えるときに、斜面上の海底近傍に集中する約半日周期の内部潮汐を再現することに成功した。この結果は、は現実の三陸沿岸の現象を反映していると考えられる。 また、海洋観測においては、岩手県大槌町に立地する東京大学大気海洋研究所の臨海研究施設(国際沿岸海洋研究センター)を拠点とし、研究調査船(「弥生」、総トン数12t)を活用して、大陸棚縁辺を含む沿岸域流況の海洋観測を実施した。昨年度から引き続き本年度も、陸棚縁辺付近において、ADCP(音響式多層流向流速計)を使用しての流速プロファイルの計測や、三陸沿岸陸棚域での前例の無い高解像CTDO(水温・塩分・溶存酸素)観測を実施した。さらに、陸棚上の岸寄りリアス湾においても、2~3トン程度の地元漁船等を傭船してADCP観測やCTDO観測を実施するとともに、水温塩分計や流速計によるに長期係留観測を実施した。 そして、こうした数値実験の結果と係留系や船舶による観測結果の比較検討を実施したところ、斜面上の海底近傍に発生する強い内部潮汐は、斜面傾斜と半日周期の内部波の特性曲線の傾きが近い(critical slope condition)ために内部波が収束され、エネルギー密度が高まる効果によるものであることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
三陸の大陸棚縁辺において、昨年度から引き続き、前例の無い極めて高解像度な流況データや、長期の海洋物理環境データを得ている。また、数値モデルによる実験を進めて、観測研究と数値実験研究を融合させる試みも継続実施している。これらの遂行によって、三陸沿岸における内部潮汐過程の実態解明が着実に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
観測研究と数値実験研究とも、引き続き昨年度までの研究を進展させ、最終年度である平成30年度はそれらの成果を融合させ纏める。その結果、三陸の陸岸から大陸棚縁辺までの精細な流況マッピングを完成させるとともに、数値実験研究による物理メカニズムの解明も行う。
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