研究課題
琉球海流は,中層水循環の一部として,北太平洋の熱や物質輸送に対して重要な役割を果たす。本研究は,日中韓の国際共同観測として,琉球海流の源流域で係留流速観測と水質調査を行い,流動と水塊構造の実態を把握するとともに,既存観測データの解析と数値計算より,琉球海流の形成・変動力学,さらに琉球海流が北太平洋中層水の循環に果たす役割を明らかにすることを目的とする。係留観測網は,沖縄トラフの黒潮流域にも及んでおり,黒潮との比較も行う。本研究課題の総括を兼ねて,JpGU2019(2019/5実施)で,国際セッションを代表コンビーナーとして主催する。ここで,本研究課題に関連して実施された,国際共同観測(2015/6-2017/6),既存観測データの解析,数値計算の主要な成果が9件発表される(学会発表業績参照)。以下,この中から2つの成果を説明する。1)この国際共同観測により,源流域で初めて組織的に琉球海流が観測され,約500m深に~20cm/sの流速コアをもつ恒常的な潜流(琉球海流)が発見された。流速分布は中規模渦の影響を受けるが,流速コア強度は中規模渦活動と無関係であることから,中規模渦は琉球海流の潜流構造の形成原因ではないことが示された(論文投稿中)。2)黒潮と琉球海流では流量の季節変動が逆位相であるという事実について,再解析データの詳細解析と数値実験より,黒潮表層流速の季節変動は北東アジア季節風に対する沿岸海洋応答,黒潮下層と琉球海流のそれは偏西風/貿易風に対する沖合海洋応答であることが示された(論文投稿中)。3)これら以外に,琉球海流域に到来する中規模渦の研究成果,黒潮・琉球海流の全流域での経年流速変動の研究成果がある。最終年度だが,韓国海洋科学院との国際共同観測を発展させるために,かごしま丸航海(2018/6)で,宮古島沖の2係留系を回収・再設置した。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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