研究課題
本研究は、惑星磁気圏に普遍的な相対論的電子加速モデルを構築することを目的として、加速過程を担うホイッスラーモード・コーラス放射の発生過程を電子ハイブリッド・MHD連成計算により再現し、コーラス放射の波動特性と電子加速効率を究明する。平成27年度はまず、コーラス放射発生過程に関する電子ハイブリッドシミュレーションを、特に初期条件として与える高エネルギー電子の速度分布と、発生するコーラス放射との関連に着目して実施した。得られた計算結果をもとに、コーラス放射の特徴と計算の初期条件とに関するデータベースを作成した。また、木星磁気圏の磁場構造とプラズマ環境の変動幅について考察するために、様々な太陽風条件下でのMHDシミュレーションを実施した。コーラス放射の発生領域に対応する木星半径の10倍から20倍の領域に着目して、連成計算で用いる初期条件と、必要な計算資源量について整理した。以上の研究活動によって得られた成果は、国内外での学会・研究会で発表した。研究経費はデータ解析環境の整備とデータベース作成補助のための謝金、関連する最新の研究成果の情報収集ならびに成果発表旅費として使用した。
2: おおむね順調に進展している
H27年度の研究計画として挙げた、電子ハイブリッドコードによるコーラス放射発生過程に関するサーベイ計算と、MHDコードを用いた木星磁気圏の磁場構造・プラズマ環境の時間・空間変動については順調に実施できており、相対論的電子加速モデルで用いられるデータベース構築も予定通り進められている。
当初の研究計画に従って、H28年度は引き続きサーベイ計算を実施すると共に、電子ハイブリッド・MHDコードによる連成計算機実験を実施する。大規模計算機実験の実施の為に、十分な計算機資源の確保が必要であり、そのための計算機共同利用申請を既に済ませている。また、得られた計算結果と、地球ならびに木星磁気圏でのプラズマ波動・高エネルギー粒子観測結果との比較を進める。観測結果の解析研究を進めるために、研究協力者との共同研究や、関連する研究プロジェクトとの連携を積極的に進めている。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 4件)
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