沈み込み帯の地震サイクルに伴う古応力の変化と弾性歪・破壊組織の定量的対比

2018 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 15H03738
• 研究機関: 高知大学
• 研究代表者: 橋本 善孝 高知大学, 教育研究部自然科学系理工学部門, 教授 (40346698)
• 研究分担者: 氏家 恒太郎 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (40359188) ; 林 為人 (リンウェイレン) 京都大学, 工学研究科, 教授 (80371714)
• 研究期間 (年度): 2015-04-01 – 2019-03-31
• キーワード: 沈み込みプレート境界 / 巨大地震 / 国際海洋掘削計画 / 古応力 / 堆積物物性

研究実績の概要

本研究の本年度の実績は、１）堆積物物性の取得、２）新たな古応力解析による地震サイクルに伴う応力変化のさらなる一般化、３）物性と古応力を合わせた古応力サイズの制約の完成と新たな応用の３つである。
１）共同研究者であるドイツ・ハレ大学のMichael Stipp教授を招聘し、堆積物物性の実験の手法および今後の研究の進め方について打ち合わせを行うとともに、実際に実験データの解析を共同で行った。弾性波速度ー間隙率ー有効圧の関係を多くの堆積物について検討し、さらなるデータの蓄積が必要であることを確認した。
２）乗船研究者として参加した国際海洋掘削計画第275次航海ニュージーランドヒクランギ海溝で得られた小断層の古応力解析と、白亜系四万十帯整然相の小断層の古応力解析からも、地震サイクルに伴う応力変化と考えられる結果を得た。このような変化がプレート境界の浅部および深部、あるいは上盤ウェッジ内部にいたるまで場所によらずほぼ一般的に見られることが明らかとなった。
３）このような古応力解析結果は断層のジオメトリのみから決定される主応力方向と応力比として表されるが、これに堆積物物性を合わせることで、地震サイクルに伴う応力サイズの変化も明らかにした。ヒクランギ海溝浅部においては1MPa程度の応力降下が、深部上盤ウェッジ内では10MPa程度の応力降下が見積もられた。これらは、地震イベントと調和的と言える。また、このような手法を使って逆に３次元地震波断面から得られるプレート境界の凹凸に伴う応力の不均質な分布と物性分布を検討することに発展させた。この、応力の不均質な分布は、浅部超低周波地震の分布と調和的であり、プレート境界のジオメトリが超低周波地震の発生分布をコントロールしていることを示唆した。

現在までの達成度 (段落)

平成30年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

平成30年度が最終年度であるため、記入しない。

研究成果

• [国際共同研究] Halle University(ドイツ)
  • 国名: ドイツ
  • 外国機関名: Halle University
• [雑誌論文] Slow slip source characterized by lithological and geometric heterogeneity (2020)
  • 著者名/発表者名: Philip M. Barnes, Laura M. Wallace, Demian M. Saffer, Rebecca E. Bell, Michael B. Underwood, Ake Fagereng, Francesca Meneghini, Heather M. Savage, Hannah S. Rabinowitz, Julia K. Morgan, Hiroko Kitajima, Steffen Kutterolf, Yoshitaka Hashimoto, et al.
  • 雑誌名: Science Advance 巻: 6 ページ: 1-10
  • DOI: DOI: 10.1126/sciadv.aay3314
  • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
• [雑誌論文] Origin of the early Cenozoic belt boundary thrust andIzanagi-Pacific ridge subduction in the western Pacific margin (2019)
  • 著者名/発表者名: Gaku Kimura, Yujin Kitamura, Asuka Yamaguchi, Jun Kameda, Yoshitaka Hashimoto, Mari Hamahashi
  • 雑誌名: Island Arc 巻: 28 ページ: 1-15
  • DOI: DOI: 10.1111/iar.12320
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Mixed deformation styles on a shallow subduction thrust, Hikurangi margin, New Zealand (2019)
  • 著者名/発表者名: A. Fagereng, H.M. Savage, J.K. Morgan, M. Wang, F. Meneghini, P.M. Barnes, R. Bell, H. Kitajima, D.D. McNamara, D.M. Saffer, L.M. Wallace, K. Petronotis, L. LeVay, and the IODP Expedition 372/375 Scientists (inc. Y. Hashimoto)
  • 雑誌名: Geology 巻: 47 ページ: 872-76
  • DOI: DOI:https://doi.org/10.1130/G46367.1
  • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
• [雑誌論文] K-Ar dating of fossil seismogenic thrusts in the Shimanto accretionary complex, southwest Japan (2019)
  • 著者名/発表者名: Donald M. Fisher, Satoshi Tonai, Yoshitaka Hashimoto, Naotaka Tomioka, David Oakley
  • 雑誌名: Tectonics 巻: 38 ページ: 3866-3880
  • DOI: doi:10.1029/2019TC005571
  • 査読あり / 国際共著
• [学会発表] Stress heterogeneity on shallow decollement controls Very Low Frequency Earthquakes in Nankai Trough off Kii Peninsula (2019)
  • 著者名/発表者名: Yoshitaka Hashimoto, Shigeyuki Sato, Gaku Kimura, Masataka Kinoshita, Ayumu Miyakawa, Gregory F Moore, Masaru Nakano, Kazuya Shiraishi and Yasuhiro Yamada
  • 学会等名: American Geophysical Union fall meeting
  • 国際学会
• [学会発表] Change in stress magnitude with seismic cycles within a coherent unit in the Shimanto Belt, SW Japan (2019)
  • 著者名/発表者名: Hashiguchi Makoto and Yoshitaka Hashimoto
  • 学会等名: American Geophysical Union fall meeting
  • 国際学会
• [学会発表] Temperature Variations in Tectonic Melanges: Constraints from Oxygen Isotope Thermometry (2019)
  • 著者名/発表者名: Tsai-Wei Chen, Donald M Fisher, Andrew Smye and Yoshitaka Hashimoto
  • 学会等名: American Geophysical Union fall meeting
  • 国際学会
• [学会発表] Temperature variation in tectonic melanges of the Shimanto Belt, SW Japan (2019)
  • 著者名/発表者名: Tsai-Wei Chen、Donald M Fisher、Andrew J Smye、Yoshitaka Hashimoto
  • 学会等名: 日本地球惑星科学連合2019大会
• [学会発表] 四万十帯白亜紀セノマニアン付加体の整然相における古応力解析 (2019)
  • 著者名/発表者名: 橋口 誠、橋本 善孝
  • 学会等名: 日本地球惑星科学連合2019大会
• [学会発表] Slip tendency maps for compressional and extensional stress states on a shallow decollement in Nankai Trough (2019)
  • 著者名/発表者名: 橋本 善孝、佐藤 茂行、グレゴリー ムーア、木下 正高、木村 学、宮川 歩夢、白石 和也、山田 泰広
  • 学会等名: 日本地球惑星科学連合2019大会
• [学会発表] 局所的な断層に沿った岩石流体間反応と摩擦発熱:四国白亜系 四万十帯 (2019)
  • 著者名/発表者名: 橋本善孝・鎌池和也・濱田洋平・石川剛志・橋口 誠
  • 学会等名: 日本地質学会
• [学会発表] 紀伊半島沖南海トラフ浅部デコルマ面上のスリップテンデンシーとダイレイションテンデンシーマップ (2019)
  • 著者名/発表者名: 橋本 善孝、佐藤 茂行、木村学、木下 正高、宮川 歩夢、グレゴリー ムーア、中野 優、白石 和也、山田 泰広
  • 学会等名: 日本地質学会
• [学会発表] 四万十帯白亜紀セノマニアン付加体の整然相における古応力解析 (2019)
  • 著者名/発表者名: 橋口 誠・橋本善孝
  • 学会等名: 日本地質学会