研究課題
蒲沢産のチタノマグネタイト試料についてこれまでに行った解析の結果よりFe2.69Ti0.31O4の各サイトの陽イオン分布は[Fe3+1.00]A[Fe3+0.38Fe2+1.31 Ti4+0.31]Bと得られている.A サイトはFe3+が100%占有し,Ti4+は選択的にBサイトを占有する. この陽イオン分布の情報を基に蒲沢産のチタノマグネタイトの磁化率を求め,既報の実験および計算によるデータと比較した.チタノマグネタイトの陽イオン分布については,これまでに大別してAkimotoモデル,Neel and Chevallierモデル,O’Reilly and Banerjeeモデルの3つのモデルが提唱されている.規格化された磁化率より,今回の結果は,Neelモデルの陽イオン分布と一致する結果となった.これまで報告されてきた幾つかの実験データを用い行った結晶の生成条件と陽イオン分布を比較・検討すると,今回の蒲沢産のチタノマグネタイト結晶はゆっくりした冷却速度において生成したと考えられる.これらの結果を受けて蒲沢産チタノマグネタイトに関する結果をまとめた論文を作成した.試料合成については,高圧下での合成,酸素分圧を制御した固相反応法,真空封入法と幾つかの方法での合成条件の検討を行った.Fe2-xTixO4で組成を変えて粉末試料を合成することには成功したが,単結晶の作成では組成の制御に問題が生じた.端成分であるウルボスピネルのFe2TiO4のフラックス法による単結晶合成には成功したが,組成のコントロールには課題が残った.
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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