研究課題/領域番号 |
15H03754
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研究機関 | 国立極地研究所 |
研究代表者 |
三澤 啓司 国立極地研究所, 研究教育系, 准教授 (70212230)
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研究分担者 |
新原 隆史 東京大学, 総合研究博物館, 特任助教 (20733679)
米田 成一 独立行政法人国立科学博物館, 理工学研究部, グループ長 (60210788)
海田 博司 国立極地研究所, 研究教育系, 助教 (10302811)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | カルシウム / 安定同位体 / アルカリ土類 / ダブルスパイク / コンドライト |
研究実績の概要 |
太陽系初期物質のカルシウム同位体組成を求めるために、普通コンドライト隕石とアングライト隕石の全岩試料を分析した。また、長期間にわたるNIST SRM915a標準試料の分析結果を整理し、Bulk Silicate Earth文献値とマシンバイアスを算出した。 アングライトであるD'Orbigny隕石のカルシウム同位体組成は、カリウム含有量が少ないために放射起源カルシウム-40の蓄積はごくわずかで、太陽系初期物質のカルシウム同位体の値とみなせることがあきらかになった。普通コンドライトのカルシウム同位体組成は、カリウム含有量を考慮すると、アングライトの初生同位体組成からの分化したとみなして概ね問題はない。 カルシウム標準試料NIST SRM915b (CaCO3)を恒量化して、標準試料溶液(227.266 ppm)を調製した。 カルシウム-40から-48までの高精度同位体分析におけるファラデーカップの調整は、カップ可動範囲の制約から、まだうまくいっていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
カルシウムダブルスパイク-42, -43を調製する前に、カルシウムスパイク中の他のアルカリ土類元素(ここではバリウム)の寄与が同位体組成に影響を与えるかを評価した。バリウム同位体分析の結果は、カルシウムスパイク中の他のアルカリ土類元素存在度(ここではバリウム、おそらくストロンチウムも)は、同位体分析で無視できない量がはいっていること、同一試料についてカルシウムだけではなく、ストロンチウム、バリウム同位体も分析する場合は、カルシウム、ストロンチウムスパイクからの汚染を抑えるために、スパイクの化学分離が不可欠となった。
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今後の研究の推進方策 |
カルシウムダブルスパイク-42, -43の調製をおこなう。まず、単独のスパイク溶液をDGA resinカラム、Sr resinカラムに通すことによって、スパイク中の他のアルカリ土類元素を除去する。 H26年度に調製したカルシウム標準溶液とカルシウムダブルスパイクの混合試料を5-10調製して同位体分析をおこない、カルシウムダブルスパイクの濃度と同位体組成を高精度で求める。 標準試料(海水、玄武岩、炭酸塩岩、リン酸塩)と隕石全岩試料のカルシウム同位体分析を継続しておこなう。 ICP-MSによるカルシウム、ストロンチウム、バリウム定量分析法を確立する。めざす分析精度は~10%とする。 Allende隕石の棒状かんらん石コンドリュール(Misawa & Fujita, 2000)で残しておいた溶液のカルシウム、ストロンチウム含有量をICP-MSにより求める。 非平衡コンドライト隕石からコンドリュールを分離し、酸分解する。
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