本研究では、地球惑星システムを探る上で重要な、地球・惑星の地質試料に含まれる微量成分を迅速かつ高感度に計測できる次世代のレーザー同位体分光システムを開発する。最先端の中赤外半導体レーザーと光通信分野で活用されている光伝達・増幅・波長選択の機能をもつ「光ファイバデバイス」を融合するという斬新なアイデアで、微量サンプル中からの同位体分子種の高感度検出法の構築を目指す。 平成28度までに、以下の4項目を進めることができた。(1) 中赤外領域におけるCO2の波長選択を決定したのち、量子カスケードレーザを導入した。波長選択にあたっては、各同位体分子種の吸収ピークの高さが同程度の領域で、かつ温度依存性が大きく異ならない領域をターゲットとした。ただし、12C17O16Oについては、他の同位体分子種と同程度の吸収ピークは探索できなかったため、他のCO2同位体分子種と同時スキャン可能な領域を選定した。(2) 他の分子にも適用可能な多成分同時分析システムを構築するための中赤外ファイバとレーザ光のコリメータを導入した。すべてファイバー接続を前提とした構成となっている。(3) 中赤外リアルタイム吸収分光のための専用小型セルを導入した。本セルの構成もセル両端にファイバ接続可能で、かつリーク率が低いセルを条件とした。(4) 中赤外領域で高い感度を持つ検出器を導入した。当初、メンテナンス等の観点から国産検出器を検討したが、海外製の検出器の感度が優れていたので海外製の検出器を導入した。
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