研究実績の概要 |
本研究では、地球惑星システムを探る上で重要な、地球・惑星の地質試料に含まれる微量成分を迅速かつ高感度に計測できる次世代のレーザー同位体分光システムを開発するこことを目的とした。具体的には、最先端の中赤外半導体レーザーと光通信分野で活用されている光伝達・増幅・波長選択の機能をもつ「光ファイバデバイス」を融合するという斬新なアイデアで、微量サンプル中からの同位体分子種の高感度検出法の構築を目指した。 本年度は、まず新規ファイバセルとコリメータの仕様検討を行った。検討の結果、本課題を達成するための光路長とサンプルセルの小型化の両者を満たす最終仕様の決定に時間を要した。また、量子カスケードレーザー・中赤外検出器と中赤外ファイバを接続するコリメータ、および中赤外ファイバー自体の仕様決定にも時間を要した。 この過程で、海外も含めた先端の光ファイバ技術を持つ民間企業との数多くの議論を進め、現状での最善の小型セル、光ファイバ(シングルモード・マルチモード)、コリメータの仕様決定を完了し、導入した。導入した各パールの動作確認の結果、量子カスケードレーザーについては、先行研究(Sakai et al., 2017)と同等の出力強度と出力波長範囲を確認することができた。中赤外検出器についても高い感度での受信が可能であることを確認した。特に重要なのは、中赤外ファイバ(シングルモード)を介したレーザー出力/受信試験においても安定した受信強度を得ることができたことである。
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