研究課題/領域番号 |
15H03785
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
古川 修平 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 准教授 (90452276)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 金属錯体 / 多孔体 / メゾスコピック / 階層構造 |
研究実績の概要 |
本研究「階層性と協同性をあわせもつ錯体空間材料の創成」では、①構造柔軟性を有する多孔性金属錯体のメゾスコピック領域(5-100 nm)においてサイズ制御された結晶を集合させ、②マクロ空間をもつ高次元構造体を組み上げることで、粉末結晶や単結晶といったバルク結晶では見られない、その特異な集合状態(集積度)によって発現する新しい空間機能を開拓することを目的とする。具体的にはA. 金属イオンと有機物からなる多孔性金属錯体結晶の集合状態制御の一般化、B. 集積度と協同的空間機能の相関の解明を行う。代表者は「世界で初めて」、多孔性金属錯体のメゾスコピック領域での特異的な空間機能を見いだした実績を有している。本申請研究ではこの知見を応用し、多孔性金属錯体のもつナノ孔と高次元構造体のもつマクロ孔が協同的に機能する、新しい空間機能創成を行う。 今年度は、課題(C):ゼロ次元カプセル構造体を用いたナノ空間とマクロ空間の協同性機能発現に取り組み、結果としてカプセル型ではないが、数十から数百ナノメートルのメゾスコピック領域のサイズを有するフレーム型のゼロ次元マクロ構造体の構築に成功した。さらに、代表者が以前見出したサイズ特異的な形状記憶能(普通のメゾサイズ結晶のみで見られた)をフレーム型のマクロ構造体においても発現することを見出した(論文執筆中)。 また、多孔性配位高分子のマクロ構造体構築手法を含む、ゾルゲル法を用いた新しい合成手法に関する総説を責任著者として執筆し出版した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
最終年度に着手予定であった課題Cに取り組み、フレーム型のゼロ次元構造体の構築に成功した。また、責任著者として、このマクロ構造体構築を含む総説を執筆しChemistry of Materials誌出版した。その論文は、出版雑誌において2017年3月の最も読まれた論文の中でも1位にランクインし、世界中から注目されていることが明らかになった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、それぞれのマクロ構造体において、応力に依存する物性発現を分子設計へと注力し、マクロとミクロをつなげる全く新しい物質の創製へとつなげていく。
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