研究課題/領域番号 |
15H03794
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松田 建児 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80262145)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 分子コンダクタンス / 電子トンネリング / 分子ワイヤ / 交換相互作用 / π共役系 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、理論計算により、ジアリールエテンの光異性化における交換相互作用の変化を減衰定数β値の変化で説明することに成功した。まず初めに、3-チエニルエテン、2-チエニルエテンとその硫黄原子を酸化した誘導体の計4種類のジアリールエテンについて両端にニトロニルニトロキシドを付けた分子の交換相互作用を計算し、光異性化前後での変化について調べた。その結果、3-チエニルエテンでは約400倍と、硫黄原子上を酸化しチオフェン-S,S-ジオキシドにした誘導体や、チオフェン環とエテン部位の結合位置を変えた2-チエニルエテンに比べて著しく大きい交換相互作用の変化を示すことが明らかとなった。次に4種類のジアリールエテンについてオリゴマーを作成し、分子長の変化に対する交換相互作用の指数減衰の減衰定数βを求めた。閉環体のオリゴマーはキノイド構造を取り、0.09Å-1と非常に小さいβの値を持つことを明らかにした。他のジアリールエテンではβの値は大きく、交換相互作用のスイッチングをβ値のスイッチングとしてとらえなおすことができた。オレフィンワイヤの方が芳香族ワイヤよりも減衰が小さいことは、これまでに我々が計算で示してきたことであるが、スイッチング効率の評価においても同様の手法が有効であることを示すことができた。また、本研究により、3-チエニルエテンが他の分子に比べて高いON/OFF比を持つことが明らかとなり、スイッチング分子としての有用性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的の一つである、高いON/OFF比でスイッチングを示すπ共役分子ワイヤの設計指針を明らかにするという目標は、今年度でおおむね達成できた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、27年度に引き続き、キノイド分子のβ値を実験的に求めることを目標にする。また、グラフェンやカーボンナノチューブのように横方向に広がった分子ワイヤについて、実験理論の両面からの検討を行う。実験結果を理論計算にフィードバックし、さらに小さいβ値を持つワイヤユニットの探索を行う。
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