研究実績の概要 |
医薬品合成などに有用な合成中間体である、多数のキラル有機ホウ素化合物や芳香族有機ホウ素化合物の効率の良い合成法の開発に成功した。 1. キノリン化合物の脱芳香族・不斉ホウ素化に成功した(Adv. Synth. Catal. 2016, 358, 15, 2379)。芳香族化合物であるキノリンの部分還元を経る不斉ホウ素化に成功し、更に生理活性化合物であるSumanirole の前駆体の高効率合成に成功した。2. 塩基触媒による、アリールハロゲン化物の直接ホウ素化によって、トリアリールボランを合成することに成功した(Chem. Eur. J. 2016, 22, 17547)。ジアリールシラン化合物に塩基を作用させることで活性化し、有機ハロゲン化物へ直接ジアリール基を導入することに成功した。3. ビニルアシラール、ビニルアミナールの銅(I)触媒によるホウ素化(Synlett 2016, 28, 270; Synlett 2017, accepted)。 ビニルアシラール、ビニルアミナールのホウ素化反応により、これまで合成が難しかったγ位に官能基を持つアリルホウ素化合物を合成することに成功した。4. ケトンの不斉ホウ素化(Angew. Chem. Int. Ed. 2017, accepted)。光学活性銅(I)触媒によるケトンの不斉ホウ素化を世界で初めて報告した。5. DFT計算を用いたアルデヒドの不斉ホウ素化における反応機構の検討(Organometallics 2016, 35, 1376)。昨年度報告したアルデヒドの不斉ホウ素化反応の反応機構をDFT計算を用いて検討し、エナンチオ選択性が発言するメカニズムについて明らかにした。
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