複雑な構造を有する天然物の全合成では、既存の変換反応が適用できない局面が多く、新しい方法論や合成反応の開発が求められている。本研究課題では、炭素小員環の特徴(歪みエネルギーに由来する高反応性、立体的なコンパクトさ)とヘテロ原子の特性(カルボアニオンおよびカルボカチオン活性種の安定化、多様な官能基への変換)の組み合わせによる独自の反応設計を行い、従来の天然物合成を刷新する縮環炭素骨格構築法を検討した。 具体的には、ビニルスルフィドの分子内環化反応による4員環構築法、ジビニルシクロブタン転位反応による8員環構築法のほか、4員環化合物スクアレン酸を用いた酸素求核置換反応を開発した。
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