研究課題/領域番号 |
15H03808
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
西山 久雄 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40135421)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 合成化学 / 不斉合成 / 触媒化学 / 有機合成 |
研究実績の概要 |
有機合成は、分子・原子の結合形成を人工的に行える分子創製科学技術として普遍性を有し、目標として原子効率が高く環境融和かつ省エネルギープロセスであることが望まれている。その解決法の一つに微量触媒の活用があり、廃棄物を出さずに目的物のみ合成できることが期待される。特に本研究で取り組む不斉合成では、近年の医薬品や機能性材料の原料需要に答えるべく、技術革新が求められており、金属触媒を制御し反応性と選択性を司る配位子の設計が重要となる。この要求に答えるべく、新規かつ通常レベルをはるかにしのぐ高性能かつ超効率的不斉合成触媒反応を創出することに目標を置き、新機能を付与した新規窒素系多座配位子を提案し、問題解決にあたるものである。 本研究では、新しい安定な不斉遷移金属錯体を合成し、触媒的に、不斉還元、不斉酸化、不斉炭素-炭素結合形成反応に広く適用し、大量合成に耐えうる実生産への応用可能な光学活性物質の合成法を開発することを目標にしている。 非対称性のN-ヘテロカルベン-フェニル(NHP)、アミノフェニルオキサゾリン(APO)の誘導体を創製し、錯体合成を試み、錯体の単離と構造決定に成功した。また、光学活性ビナフトールを基盤としたフェナントロリン誘導体(BinThro)を候補三座配位子として新たに計画に入れ拡張を図った。置換基によって触媒活性を電子的制御と立体制御を同時に行うことができるBinThro配位子を有するRu、Cu, Pd, Ni錯体の合成に成功し、Rh触媒では光学活性ケイ素化合物、Cu触媒では、オキシインドールの不斉ヒドロキシ化ならびに1、3-ジケトン類のヒドロキシ化に成功し90%以上のエナンチオ選択性を得た。また、Ni触媒ではオキシインドール類を用いたヒドロキシ化に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究では、新しい安定な不斉遷移金属錯体を合成し、酸化反応あるいは還元反応で起動活性化して触媒サイクルに持ち込み、不斉還元、不斉酸化、不斉炭素-炭素結合形成反応に広く適用し、大量合成に耐えうる実生産への応用可能な光学活性物質の合成法を開発することを目標にした. 本研究では、継続してPybox誘導体とPhebox誘導体を利用しつつ、新規な二回回転対称性のN,N,N-型のビス(オキサゾリニルフェニル)アミン(Bopa)、非対称性のN-ヘテロカルベン-フェニル(NHP)、アミノフェニルオキサゾリン(APO)の誘導体を創製し、錯体合成を試みた。また、光学活性ビナフトールを基盤としたフェナントロリン誘導体(BinThro)を候補三座配位子として新たに計画に入れ拡張を図った。 光学活性配位子については、光学活性アミノアルコールを用いてPhebox、BOPA、NHP、APOを合成し、ルテニウムおよびロジウム錯体として単離できた。触媒反応については、水素化およびアルキニル化の検討を行い、アルキニル化にて三成分カップリングに成功した。光学活性BINOLを原料とした錯体触媒についても、ロジウム錯体にて不斉シリル化合物の合成に成功、銅錯体にてオキシインドールおよび1、3ージケトン類の不斉ヒドロキシ化に成功、またニッケル触媒ではカルボニル化合物の求核付加反応に成功し、予想を上回る成果を得た。また、カルベンオキサゾリン錯体では、カルボニル化合物のアルキニル化においても高いエナンチオ選択性を得ることに成功した。NHPではルテニウム錯体を合成でき、NCNC型の錯体を単離し、それぞれケトンの水素化能を検討し、生成物の絶対配置が異なる現象を見いだした。
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今後の研究の推進方策 |
光学活性配位子については充分な検討にいたったので、さらに多量合成に耐えうる反応へと進歩させるために、機構を明らかにする予定である。置換基の電子的、立体的影響を考察する。また、理論計算を多く取り入れ遷移金属錯体の中間体の安定性と遷移状態を解明を試みる。そのため、触媒の検討をする研究実験の分担者を1名依頼し、代表者は主に理論計算を担当する予定である。具体的な計算は、Rh/Pheboxを用いるオレフィンのジボリル化である。そのため、計算機とソフトを購入予定である。また、エナンチオ選択性と触媒置換基との立体化学的な相互作用から直線自由エネルギー関係の有無もしくは可能性について置換基のことなる錯体の合成と触媒反応を試みる。他の触媒反応では、BinThro/Cu触媒による1、3-ジケトンのクロル化ならびにヒドロキシ化の基質適応範囲の検討に入る。カルベン型ロジウム錯体では、活性化されたアルデヒドの置換アルキン類によるアルキニル化触媒能を検討する。
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