研究課題/領域番号 |
15H03812
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
野村 琴広 首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (20304165)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 合成化学 / 錯体・有機金属 / 高機能材料 / 触媒・化学プロセス / 触媒設計・反応 |
研究実績の概要 |
本課題は高性能分子触媒による精密重合・多量化を基盤とした高機能新材料・革新的合成法の開発に関する研究で、具体的には(1)高性能触媒の特徴を活かした新規ポリマーの創製と特性解析、(2)高機能材料の効率精密合成や革新的合成プロセスの構築を指向した高性能触媒の設計・創製に関する。平成28年度の成果概要は以下の通りである。
既に当研究グループで開発した触媒により耐熱性に優れる高透明性機能材料(環状オレフィン系共重合体)の効率合成にも成功し、雑誌の表紙に採用されるなど所定の成果を収めている。この課題に関連し、電子求引性のアニオン性配位子の導入により効率よく環状オレフィン系モノマーが取り込まれるようになるという、従来とは異なる配位子設計の考え方を提案・実証し、この特徴を活かした新しいポリマーの合成が可能となると期待している。また、リビング重合の特徴を活かした分子量分布の狭い反応性官能基を有するオレフィン系櫛型ポリマーの創製も所定の成果を得ており、既に学会発表を重ねて本年度に学術論文としてまとめる段階にある。 さらに、従来触媒では不可能であった高温でも高活性・高立体特異性を発現するオレフィンメタセシス触媒の創製に成功し(バナジウム触媒)、この特徴を活かしたオレフィン系高分子機能材料の開発に関する所定の成果を達成している。さらにこの触媒設計を基盤に、今迄に報告例が極めて希少な、オレフィンメタセシス重合に活性を示すニオブーアルキリデン錯体触媒の創製に成功し、特に(従来触媒では極めて困難な)2置換アセチレンのメタセシス重合が進行する事を報告している。 高価な助触媒を必要としない高性能オレフィン重合触媒の創製においても、国際共同研究を通じて、所定の成果を得ており、国際的に高い評価を得ている。また、オレフィン重合触媒としてのニオブ錯体触媒の合成についても、所定の成果を得ている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
申請書の実験計画に記載の所定の成果を達成しており、次年度の研究の実施・初期の成果の達成に向けて、有用な数多くの成果を得ている。一方で、環状オレフィン系ポリマーの合成では、従来とは異なる新しい触媒設計の概念を提唱・実証しており、今後の展開が期待される。また、従来のルテニウムやモリブデン触媒では達成できない高温で高い触媒活性かつ高い立体特異性を発現するオレフィンメタセシス触媒(バナジウム触媒)の創製に成功し、この特徴を活かした新規ポリマーの合成も可能となってきた。さらには報告例の希少なニオブ錯体触媒についても合成に成功し、今迄の触媒では困難であった2置換アセチレンのメタセシス重合が進行するようになった。ここに述べるいくつかの事項は、申請時には想定しなかった新しい知見・成果で、当初予定よりも大きな成果が得られたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度及び28年度の成果を基盤に、課題を発展させたいと考えている。 従来触媒では不可能であった高温でも高活性・高立体特異性を発現するオレフィンメタセシス触媒の創製に成功し、より高性能触媒の創製を指向するとともにこの特徴を活かしたオレフィン系高分子機能材料の開発に取り組む。 また、耐熱性に優れる高透明性機能材料(環状オレフィン系ポリマー)の効率合成や新規ポリマーの合成が可能となる触媒系の開発にも成功したことから、特に触媒の特徴を活かした新規ポリマーの創製に注力したいと考えている。さらにはリビング重合の特徴を活かした分子量分布の狭い反応性官能基を有するオレフィン系櫛型ポリマーの創製も所定の成果を得ており、本年度に学術論文としてまとめるつもりである。この成果を基盤に、より独自性の高い成果の達成に向けて取り組みたいと考えている。 助触媒を必要としない触媒系の開発についても、国際共同研究を通じて、有望な系(バナジウム触媒)が開発されており、本年度も検討を継続予定である。
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