研究課題/領域番号 |
15H03818
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
三浦 佳子 九州大学, 工学研究院, 教授 (00335069)
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研究分担者 |
星野 友 九州大学, 工学研究院, 准教授 (40554689)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 糖鎖高分子 / リビングラジカル重合 / 分子認識 / 多価効果 / レクチン / インフルエンザウイルス / ナノメディシン / マルチブロック高分子 |
研究実績の概要 |
リビングラジカル重合を利用して、糖鎖高分子の精密設計を行い、精密な構造に基づく生体機能の獲得を検討した。 1)ブロック共重合体による糖鎖の配置の制御と分子認識能:糖鎖ユニットとトリエチレングリコールユニットを側鎖に持つ高分子の合成と設計を行った。ブロック高分子によって糖鎖の配置を制御して、タンパク質に強く分子認識される高分子を開発した。 2)マルチブロック糖鎖高分子の合成:RAFTリビングラジカル重合を利用して、ワンポッドでモノマーが連続的に並ぶ、マルチブロックの高分子を得ることができた。糖鎖をコンカナバリンAの糖結合サイトに合わせて配置させたところ、強い分子認識能が観察された。 3)糖鎖高分子アレイによる非天然リガンドの開発:糖鎖高分子をRAFTリビングラジカル重合によって、調製した後、末端をチオールへと変換して、金基板に固定化した。金基板上の糖鎖―タンパク質の分子認識をプラズモンイメージングによって解析して、糖鎖ー高分子の分子認識をスクリーニングした。その結果、オリゴ糖と同じ機能を発揮する糖鎖高分子を得た。 4)糖鎖高分子を用いたウイルス阻害剤の開発:病原体である、インフルエンザウイルスに対する毒性阻害能について検討を行った。インフルエンザウイルスではシアリルオリゴ糖を認識している。リビングラジカル重合を用いることで、シアリルオリゴ糖の配置を制御し、インフルエンザウイルスヘマグルチニンへの結合能の制御と解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究ではリビングラジカル重合を用いた、糖鎖高分子の精密重合とナノメディシンの開発を行っている。研究開始当初は、リビングラジカル重合そのものに困難があり、モノマー設計から始める必要があった。本年度までに、それらを克服し、むしろ水溶性のリビングラジカル重合を新しく提案し、ワンポッドでのマルチブロック重合法を開発するに至っている。レクチンに対するマルチシーケンスポリマーの設計、分子認識材料の開発に至っており、当初予測していた研究進度を上回る研究成果をあげている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は残り1年の計画となっている。これまでに、糖鎖高分子を望み通りの設計に合成する手法、高分子の構造予測、ウイルスに対するアッセイ手法を確立している。残りの一年で、リビング重合によるマルチブロック糖鎖高分子によるナノメディシンの創製、電荷を加えて複合的な多価相互作用を発揮する糖鎖高分子によるナノメディシンの創製を検討する。
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