研究課題
細胞表面の生理活性糖鎖は生体シグナルとして働く。糖認識タンパク質は、糖認識サイトを持つタンパク質が集合化した複合タンパク質の構造をしており、糖鎖の結合サイトが規則正しく分布している。糖鎖の配置を制御することで、糖―タンパク質の分子認識を制御した機能性分子の開発が可能と考えられる。本研究ではリビングラジカル重合を駆使することで、糖鎖を含む、官能基の配置を制御して、分子認識の制御を行った。2018年度研究では、リビングラジカル重合による生体高分子の設計をより精密に達成して、分子認識能の制御が実際に可能であることを示した。また、重合法そのものについても、新しい提案を行った。まず、3本鎖のRAFT剤を用いた、リビングラジカル重合を通じて、精密な構造を有した、糖鎖高分子を合成した。糖鎖高分子のターゲットは三角形のレセプターを持つ、インフルエンザウイルスヘマグルチニンとした。糖鎖の結合サイトにあったような糖鎖高分子を用いると、実際に強いウイルスへの抑制活性を発揮することがわかった。また、糖認識タンパク質に対して、様々な官能基を精密に配置する手法の開発を行った。糖認識タンパク質は精密な大きさを持つと同時に、電荷、疎水性など他の官能基も有している。Huisgen反応によるクリック反応、エポキシ開環反応という、異なる2つの干渉しない直交した反応を使うことで、リビングラジカル重合法の後に修飾する方法で糖鎖と電荷を精密に配置した高分子を得た。糖鎖高分子の分子認識性については糖鎖―電荷の双方でより精密に制御することが可能であった。水溶性のRAFT剤を用いて、連続的にブロック共重合体を得る、マルチブロック共重合を合成した。この手法によって、10ブロック以上の糖鎖高分子を自由に設計することができ、かつ短時間で得られるようになった。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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