研究課題/領域番号 |
15H03821
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
盛田 伸一 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (40462741)
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研究分担者 |
西澤 精一 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (40281969)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 分析科学 |
研究実績の概要 |
倒立顕微鏡・レーザー・対物レンズ・PC・光学フィルター・分光器・CCDなどを使い,バイオ・ラマン顕微鏡の基本骨格を構築した.特にレーザー光のビーム形成と光路構築に注力した.光学フィルターを工夫して,可視顕微像を見ながら緑色レーザースポットを可視化できるようにした.生細胞の可視像および蛍光像を計測した後に,同一の細胞の局所についてラマンスペクトルを計測できるように光学系を構築した.生細胞を顕微鏡ステージ上で飼育し続ける仕組みを構築し,HeLa細胞を4日程,顕微鏡ステージ上で,飼育しながら観察できるようにした.生細胞実験を立ち上げ,整備した.HeLa細胞・HL60造血細胞を用いラマンスペクトル計測した.HL60造血細胞が分化に伴い,異なるラマンスペクトルを与えることを確かめた.ラマン計測の定量性を向上させるラマンプローブの応用について検討した.細胞の分化ダイナミクスに対応したラマンスペクトルは大量であるので,数理解析手法を用い,直感的・視覚的に,未分化・分化を識別できるような方法を作った(PCA・SIMCA等の方法を参照し,ラマン計測に基づく分化ダイナミクスの相図を作成した).50個ほどのHL60 細胞を使い,未分化・分化ダイナミクスの割合について蛍光マーカーを用い統計的に見積った.この分化率とラマン計測に基づく相図の結果を照会し,どのラマンスペクトルが,未分化あるいは分化状態に対応するのか,帰属することができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初は,主に,大まかな装置開発・ラマンプローブの検討までを予定していたが,翌年度に予定している装置の自動制御についても,予備的なテストを行うことができた.応用研究についても,細胞分化ダイナミクスについて予備実験を多く持つことができた.以上のことから,当初の計画以上に,本研究は進展していると,言える.
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今後の研究の推進方策 |
翌年度は,引き続き,装置開発および改良を主に推進する.特に,装置にできるだけ自動制御の機能を持たせるようにする.スペクトル数理解析の方法を開発・改良し,バイオ・ラマン顕微鏡への応用を検討する.生細胞の応用実験,細胞の内部状態の規定および細胞分化ダイナミクスの計測,を行う.
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