現在,生細胞の局所のラマンスペクトルを計測できるようになっている.生細胞に光を当てラマン散乱スペクトルを計測できるようなバイオラマン顕微鏡を開発し,数理解析することで,造血細胞HL60・HeLa細胞の内部状態について実験的な知見を得ることができた.細胞を顕微鏡ステージで飼育しながらラマン計測を行った.造血細胞HL60において,未分化状態から分化・アポトーシスに移行するダイナミクスは,未分化細胞の内部状態に依存することが,ラマン計測により明らかになった.任意の分化状態へ誘導しようとする再生医療の観点からも,得られた情報は重要である.複雑で大量なラマンスペクトルを数理解析する新規な方法を開発した.
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