研究課題
本研究では,human Ether-a-go-go Related Gene (hERG)チャネルを包埋した安定化脂質二分子膜に基づき,この膜中にさらにNaチャネルを包埋することにより,人工脂質二分子膜における世界初の活動電位の発現と,人工活動電位の変化を指標とする新しい薬物副作用評価法の創案を目指している.人工脂質二分子膜系においては,脂質膜の強度が低いことと,イオンチャネルの包埋確率が低いことが大きな課題となっていた.我々は,初年度のH27年度に,遠心力を負荷することによりチャネル包埋確率およびチャネル電流記録確率を向上できることを見出したが,安定に遠心力を負荷するためには,脂質二分子膜の安定性の更なる向上が必要であることも判明した.そこで,脂質膜の保持体となるシリコンチップの縁部形状をナノ、マイクロレベルで制御するアプローチや,表面修飾による膜安定性の向上に取り組み,フッ素系のシランカップリング剤でチップ表面を修飾することにより,膜安定性を著しく向上できることを見出した(Sci. Rep. (2017)., Langmuir, in press).また,脂質二分子膜中での人工活動電位の記録における最大の課題であった,膜抵抗が高過ぎて電流固定ができず,その結果として電位測定が出来ない点については,遠心力の負荷を調節することにより,薬物を用いることなく膜抵抗の調節が可能であることを見出した.これにより,人工活動電位の記録に向けて,一つのブレークスルーを達成した.この他,ハイスループット測定のためのアレイ測定系の構築とhERGチャネル電流計測に成功しており,人工活動電位に基づくハイスループットスクリーニング系の構築に向け,主要な要素技術を確立することに成功した.
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (36件) (うち国際学会 14件、 招待講演 8件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件)
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