研究課題/領域番号 |
15H03823
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
佐藤 記一 群馬大学, 大学院理工学府, 准教授 (50321906)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | マイクロ流体デバイス / 臓器モデル / バイオアッセイ |
研究実績の概要 |
バイオアッセイのための人体モデルの構築に必要な臓器・組織のチップ化を試みた.小腸から吸収された化学物質は,肝臓で代謝をされつつ,筋組織・脂肪組織に分布しながら流れていき,標的部位に作用し,そして腎臓において排泄されながら体内を循環する.本研究開始より本年度にかけて腸上皮および肝臓,腎臓のプロトタイプの構築と最適化を行った.また,筋組織と脂肪組織について,モデル細胞株を選定し培養および分化の条件検討を試みた.さらに,腫瘍とそれを取り巻く新生血管の相互作用を解析するための,血管新生モデルを開発するための基礎検討を行った.培養に用いる各種マイクロチップはPCソフトウェアを用いて設計し,ソフトリソグラフィー法によりPDMSとスライドガラス,各種メンブレンフィルターなどから自作し,各細胞が正しく増殖,分化するために最適なチップの構造と必要な培養法について検討を行った. 各マイクロモデル開発の初期には扱いやすさとコストの面からモデル細胞株を用いてきたが,これらの細胞は正しい生体応答を得ることができないことが多い.そこで本年度は,血管内皮細胞,平滑筋細胞,線維芽細胞など,分化能に優れたヒト由来の初代細胞を複数種類用いて各マイクロモデルの最適化を試みた. システム開発と評価の段階において,系がうまく動いているのかを確認する必要があるため,各部位において試験薬剤がどれだけ蓄積あるいは代謝されているかを正確に調べる必要がある.そのため,超微量の試料から分離定量が可能なマイクロHPLCを用いて分析を行ったところ,チップ素材であるPDMS表面への薬剤の吸着が無視できないことが判明した.これを解決するため,PDMSチップの流路に各種高分子の溶液を導入することによりコーティングを施し,そのコーティングによる吸着抑制効果と耐久性について実験を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各種臓器モデルの構築について,臓器ごとに進展具合には差があるものの,概ね順調に研究は進んでいる.また,デバイス表面への薬剤等の吸着の問題についても,大幅に低減できそうな方法を開発しつつあり,研究の推進に大きな問題はないものと思われる.
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今後の研究の推進方策 |
以前より,扱いやすさとコストの面から各種モデル細胞株を用いて実験を行ってきたが,これらの細胞は増殖が速い反面,分化状態に問題があり,正しい生体応答を得ることができないことが多い.そこで,昨年度からある程度マイクロモデルができあがった段階で,分化能に優れたヒト由来の初代細胞を用いて各マイクロモデルの最適化を試みているが,本年度は引き続き用いる初代細胞の種類を増やし,実験を行う.創薬,食品中の機能性成分,化学物質の毒性などのリスク評価に頻用されるモデル系を複数選定し,これらのマイクロモデルの構築を目指す.具体的には抗がん剤の探索や,脂肪組織形成,血管内皮細胞等に関する生理活性物質のアッセイなど,様々な疾病,特に需要の大きい生活習慣病に関連するバイオアッセイ系に注目してチップ化に取り組む.また,腫瘍(がん)とそれを取り巻く新生血管の相互作用を解析し,血中薬剤の腫瘍組織への移行性をバイオアッセイするための,病的血管新生モデルを開発する.血管内皮細胞が腫瘍側に伸展していることが確認できた段階で,血管側の流路にモデル薬剤を導入し,その腫瘍組織への移行性について解析する.これらモデルの開発と評価の段階においては,単にバイオアッセイの結果を見るだけではなく,系がうまく動いているのかを確認する必要があるため,各部位において試験薬剤がどれだけ蓄積あるいは代謝されているかを正確に調べる必要がある.そのため,超微量の試料から分離定量が可能なマイクロHPLCを用いて分析を行い,システムの最適化を進める.
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