研究課題/領域番号 |
15H03825
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
火原 彰秀 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (30312995)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | マイクロ流体 / レーザー分光 / 表面・界面 / 張力波 / 共鳴 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、制限空間での共鳴現象を利用した新しい計測法を提案・実証することである。当研究グループではこれまでに、流体界面での光散乱を利用した準弾性レーザー散乱法(QELS法)を研究し、界面形状をマイクメートルスケールに制限した液面で、界面張力波の自発的共鳴現象が起こることを見いだしている。本研究では、共鳴現象を外部超音波で制御する方法、リン脂質二重膜を対象とした手法を研究する。この研究により、界面単分子化学の創成とその応用という、独自手法の実現を期待している。 本年度は、共鳴現象を外部超音波素子で制御する新しいマイクロチップ作製法をまず検討した。500 kHzの超音波を発生するドーナッツ型ピエゾ素子を用い、ドーナッツの内側に制限気液界面を形成することを考え、ポリジメチルシロキサン(PDMS)の薄い膜をピエゾ素子に貼り付けるデバイス作製法を確立した。PDMS薄膜中に直径40マイクロメートルの開口をあけた。そのPDMS薄膜を液体リザーバーの底面に、ドーナッツ型ピエゾ素子の内孔壁面をリザーバー側面に用いるデバイスを作製した。このデバイスでは、大きな信号増強は見られなかったため、ピエゾ素子の振動方向なども今後検討していく予定である。 リン脂質二重膜解析に向けた検討では、これまでに報告のあるマイクロチャネル壁面にマイクロメートルサイズの液溜めをアレイ状配置した流路を作製した。ここに、水相-脂質を含んだ油相-水相の順に液体を導入し、二重膜と思われる膜を形成した。QELS測定まで行った。信号の解析を行い、測れた現象の同定を今後行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計測用デバイス作製や光学測定系の構築は順調に進展している。また、今年度導入したスペクトルアナライザーにより、高時間分解能での測定が可能であることも確認した。今後、新規分析法としての解析が、新手法実現の鍵になってくる。
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今後の研究の推進方策 |
計画通り、超音波印加時の液面の共鳴現象解析を進める。28年度後半からは、粒子を用いた画像化に挑戦する。リン脂質二重膜計測では、膜の種類の変化などを通して、確かに二重膜が測定できていることをまず確認する。その後、膜タンパクを加えた系での実験に進む。
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