高速QELS法装置の開発を進めた。これまでの検討でアレイ構造では100 kHzから1 MHzの間で平均化したスペクトルが計測しやすいことが分かっていた。スペクトルアナライザーにより連続取得したデータを用いて、平均化の回数やスムージングの有無などフィッティングできる条件を検討したところ、20回以上の平均化によりフィッティングが可能であることが判明した。測定条件にもよるが20回の平均化は時間分解能にして10ミリ秒程度に相当し、目標としているミリ秒時間分解が達成された。さらにフィッティングされたピーク周波数の順序や、2つ以上のピーク周波数比、ピーク周波数の線幅などから、異常値の検出の検討も行い90%以上の測定値が正しい張力値解析に使えることを明らかにした。マイクロ流路内の気液界面において、表面張力がモニターできることを活用して、たんぱく質の気液界面吸着挙動などをQELS法により測定できることを明らかにした。 研究実施途中にレーザーの不調により、データの質の低下があったがこの間にデータ解析手法の最適化などの理論的な解析を進めた。このことでレーザーが復調してすぐに目標の高速QELS法データが取得できた。 研究分担者の東京工業大学岡田哲男教授は、表面張力測定の機器分析、界面振動の数値処理における界面化学的解析などを担当した。研究分担者ではないが、東北大学電気通信研究所平野愛弓教授の協力の下、膜たんぱく質を解析するための、微小開口リン脂質二重膜形成チップを作製した。シリコンデバイスの上下に、ポリジメチルシロキサン流路を配置する新しい膜タンパク解析デバイスを実現した。
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