研究実績の概要 |
カリウムイオン(Kイオン)とナトリウムイオン(Naイオン)は細胞の膜電位の調節に必須であるだけでなく、神経細胞やニューロンの活動電位の発生に重要な役割を担う。本研究では申請者が世界に先駆けて開発したKイオン選択的蛍光イメージング用核酸試薬(カリウムセンシングオリゴヌクレオチド, 以下PSO)を(1) 細胞表面でのKイオンイメージング試薬と発展させること、(2) PSOのオリゴヌクレオチド配列を網羅的に改変しNaイオン選択的な核酸プローブ(ナトリウムセンシングオリゴヌクレオチド, 以下SSO)を創製することで、神経活動のイメージングにための細胞内外のK+, Na+の同時蛍光イメージングを達成する。これにより、アポトーシスに伴う細胞内外のK+拡散動態の可視化に加え、脳や神経細胞の活動電位の時空間イメージングにより動的な生命現象の解明に寄与する。 平成27年度は以下の項目について検討を行った。 (i)培養細胞表面へのPSO誘導体の局在化条件の検討。Sulfo-NHS-ビオチンの局在化条検として、濃度、反応時間、反応温度を検討する。最適化後、細胞表層に局在化されたPSOのKイオン選択性の評価、アポトーシス誘導剤の添加に従うK+の変化を蛍光顕微鏡観察して、評価した。 (ii)SSOの創製及び物性評価。オリゴヌクレオチド配列を系統的に改変して、Naイオン選択的に4本鎖構造形成可能な配列を見いだす。Naイオン添加に伴う構造変化を円偏光二色性スペクトルで評価し、熱安定性評価、ゲル電気泳動による立体構造の評価を行い、蛍光色素修飾SSOを合成した。
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