研究課題
ncRNAの動態を定量的に評価する分析法の確立を目指し、最終年度であるH29年度は以下の研究を中心に取り組んだ。1) ハイフネーテッド質量分析技術の開発元素の高感度分析が可能な誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)では、金属元素であれば概ね90%以上がイオン化されるため、精度よく定量分析を行える。一方、リンや臭素のような非金属元素はイオン化効率が悪いため、通常はICP-MSの分析対象となることは少ない。しかし、10%程度はイオン化されており、その割合は安定しているため、選択性に優れ精度もよい定量法として潜在的価値を有する。本研究では、質量分析計に負担が少ないように内径の小さなキャピラリーHPLCシステムを採用するとともに、バックグラウンドノイズを低減するべく適切な溶離液の選択と共存成分由来のピークの除去を図り、RNAの構成要素であるリン(P)、および標識として導入したハロゲン元素の定量に成功した。2) ncRNAをバイオマーカーとして用いる化学物質の暴露影響評価技術の開発ヒトiPS細胞やヒト肝がん細胞(HepG2)を様々な条件下で培養し、その細胞株に発現するncRNAやmRNAの分析を定量PCR法により行った。過酸化水素や塩化水銀、シクロヘキシミド、エトポシドのような化学物質に暴露させた際に顕著に増加するncRNA(バイオマーカー候補)をいくつか見出すことができ、それらの経時的な代謝分解過程を詳細に調査した。その結果、分解が抑制されることによってncRNAが細胞内に蓄積されていくということが分かった。さらに、RNA干渉法を用いてRNA分解酵素をノックダウンする実験により、暴露によって増加したncRNAの分解に関与する酵素をいくつか特定することができた。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (19件) (うち国際学会 4件、 招待講演 6件)
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