研究課題/領域番号 |
15H03833
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐藤 守俊 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (00323501)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 蛍光 / イメージング / 細胞 / 超高解像度 / タンパク質 |
研究実績の概要 |
1990年代の中期以降,GFPをはじめとする蛍光タンパク質は,生命科学研究の目覚ましい発展に大きく貢献してきた.さらに,2000年代初頭に開発されたPA-GFP,Kaede,Dronpaに代表される光活性化型の蛍光タンパク質(photoactivatable fluorescent protein: paFP)は,光照射で蛍光のスイッチング(点灯や変色,点滅)を自由自在にコントロールできるため,既存の蛍光タンパク質では不可能だった新しい技術分野を開拓した.その最たるものが,photoactivated localization microscopy(PALM)と呼ばれる超解像イメージング技術(2014年ノーベル化学賞)である.Eric Betzigらは2006年,蛍光タンパク質の代わりにpaFPを用いて,かつ同時に光るpaFPの分子数が著しく少なくなるように撮影条件を設定することにより,光の回折による影響を回避して超解像イメージングを実現できることを実証した.paFPを用いた超解像イメージング技術(PALM)は,空間分解能については従来技術を遥かに凌ぐ一方で,当該技術には大きな課題が残っている.現状の技術では細胞の超解像画像を1枚カラ数枚鹿撮影できず,細胞を生かしたまま長時間にわたって撮影し続けるのは不可能なのだ.本研究ではこの問題を解決するために,従来にない傾向プローブの開発研究を行う. 平成28年度は,平成27年度に引き続いて,先行研究で取得した蛍光タンパク質の発色団近傍に対するアミノ酸変異導入を行った.この結果,先行研究で取得した蛍光プローブよりも,蛍光強度が高いプローブを取得することができた.現在,超解像イメージングを行いながら,当該蛍光プローブの評価を行なっている.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アミノ酸変異導入と大腸菌コロニーを用いた変異体のスクリーニングシステムを独自に構築した甲斐があって,アミノ酸変異導入に基づく蛍光タンパク質の機能向上(高輝度化)は概ね順調に推移している.
|
今後の研究の推進方策 |
上述のようにアミノ酸変異導入による蛍光タンパク質の高輝度化は概ね順調に進んでいる.今後は細胞での超解像イメージングの系に当該蛍光タンパク質を適用し,その評価を行う.必要に応じて,変異導入のステージに戻って蛍光プローブの改良を行う.このような変異導入と評価のサイクルを繰り返すことにより,目的とする蛍光プローブを完成させる予定である.
|