2000 年代初頭に開発されたPA-GFP,Kaede,Dronpaに代表される光活性化型の蛍光タンパク質(paFP)は,光照射で蛍光のスイッチング(点灯や変色,点滅)を自由自在にコントロールできるため,既存の蛍光タンパク質では不可能だった新しい技術分野を開拓した.その最たるものがPALMと呼ばれる超解像イメー ジング技術(2014年ノーベル化学賞)である.Eric Betzigらは2006年,蛍光タンパク質の代わりにpaFPを用いて,かつ同時に光るpaF Pの分子数が著しく少なくなるように撮影条件を設定することにより,光の回折による影響を回避して超解像イメージングを実現でき ることを実証した.paFPを用いた超解像イメージング技術(PALM)は,空間分解能については従来技術を遥かに凌ぐ一方で,当該技術 には大きな課題が残っている.現状の技術では細胞の超解像画像を1枚から数枚しか撮影できず,細胞を生かしたまま長時間にわたって 撮影し続けるのは不可能だった.本研究ではこの問題を解決するために,従来にない蛍光プローブの開発研究を行った. 平成29年度は,平成28年度までにプロテインエンジニアリングに基づいて開発してきたに蛍光プローブを細胞に導入し,超解像イメージングを行いながら当該蛍光プローブの評価を行なった.その結果,当該蛍光プローブが期待通り微弱光での長時間にわたる超解像イメージングを実現することが明らかになった.
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