研究課題/領域番号 |
15H03835
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
築地 真也 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40359659)
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研究分担者 |
滝本 浩一 長岡技術科学大学, 工学研究科, 教授 (30500996)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 生体制御化合物 / タンパク質局在 / オルガネラ / シグナル伝達 / 合成細胞 |
研究実績の概要 |
本研究では、研究代表者が考案した「局在性リガンド」の方法論を発展させ、生細胞内のタンパク質の局在を小分子化合物によって自在に制御するための新技術・化合物体系を創出することを目的とする。本年度は主に以下の成果を挙げることができた。 1)前年度に開発した「SNAP-tagの細胞膜選択的局在移行誘導システム」を応用し、生細胞内の内在性Rasならびに下流のERK経路を人為的に活性化するシステムを構築することに成功した。 2)以前に開発したeDHFRの細胞膜移行誘導システムと、本研究で開発したSNAP-tagシステムを併用することで、同一細胞内で二種類のタンパク質(eDHFR融合タンパク質とSNAP融合タンパク質)の局在を二種類の局在性リガンドでそれぞれ独立に制御できることを実証した。 3)局在性リガンドmgcTMPによるeDHFRの細胞膜移行誘導システムを精査する過程で、mgcTMPの添加によって細胞膜に移行したeDHFRがその後自発的に再度細胞質に戻る(局在が解消する)ということが明らかとなった。この自発的局在解消を利用することで、細胞内シグナル経路を化合物の添加のみで(洗浄操作なしで)オフ→オン→オフと一過的に活性化できる可能性を見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概要に記載したように、本年度は主に3つの大きな成果を得ることができ、順調に研究が進展しているものと考える。特に上記の成果は、化合物を用いた細胞機能制御における非常にユニークで新しい技術になるものと期待される。次年度はこれらの成果を(複数報の)論文にまとめる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は以下の内容を中心的に進める。 1)一細胞二分子制御システムを発展させ、同一細胞内の二種類のシグナル経路をそれぞれ独立に活性化可能なシステムを構築する。これにより、二種類のシグナルによって制御される細胞機能の精密制御や、経路間クロストークの解明のための新基盤ツールを創出する。 2)mgcTMPによるeDHFRの自発的局在解消のメカニズムの解明に取り組む。また、その知見をもとに、自発的解消の起こらない新規局在性リガンドを創製し、タンパク質局在移行の持続時間を任意に制御可能な新ツールを開発する。 3)細胞膜以外のオルガネラ膜に対する局在性リガンドの創製も(引き続き)検討する。
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