研究課題
本年度は、人工的な受容体システムを開発するため、十字型のDNAオリガミ構造体を用いて2次元格子構造を構築し、脂質二重膜上での自己集合化の方法とその形成過程の可視化を行った。次に、十字構造体に針状構造体を中心に導入することで、脂質二重膜を貫通する格子状集合体と作成しリポソームと相互作用する系を構築した。マイカ上にDOPCによって脂質2重膜を作成し、この上に十字型のDNAオリガミ構造体を静電的に吸着した。脂質二重膜上では十字型のオリガミ構造体は十字構造の末端のπ-π相互作用によってモノマー同士が結合し、格子構造を形成した。特に、オリガミ構造体の溶液中の濃度が高い状態では、数マイクロメーターの格子構造を形成することを見出し、脂質二重膜上での流動性が拡張した格子構造を作るうえで重要であることがわかった。作成した系を用いて、十字構造体に針状構造体を中心に導入することで、脂質二重膜を貫通する格子状集合体と作成し、脂質二重膜からなるリポソームと相互作用する系を構築した。十字構造の中心に4本の2本鎖DNAが結合した、剛直な20 nmの針状構造体を用いて中心を貫通するように設計した。この構造体を自己集合させると十字構造の中心に高さのある針状構造物が導入されているのがAFMから確認できた。これを用いて相補的に結合する2種類の十字型構造体を作成した。これらをアセンブルすると20個程度のモノマーが含まれた格子集合体の形成が見られた。これらの構造体をもつリポソームに加えると、その表面に結合することが蛍光顕微鏡観察から確認できた。
2: おおむね順調に進展している
当初計画した脂質膜上でのDNAナノ構造体のアセンブリーの構築とその集合過程の可視化を行えた。脂質膜を貫通するDNAナノ構造体の構築も行えた。
本年度は、作成したDNAナノ構造体を使ってリポソームとの相互作用とリポソーム内部への分子のデリバリーを行う。また、細胞との相互作用と細胞機能の制御の誘導を行える分子システムを構築する。
すべて 2016 2015 その他
すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (14件) (うち国際共著 4件、 査読あり 14件、 謝辞記載あり 14件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (17件) (うち国際学会 11件、 招待講演 11件) 備考 (1件)
Nano Letters
巻: 15 ページ: 6672-6676
10.1021/acs.nanolett.5b02502
ACS Nano
巻: 9 ページ: 9922-9929
10.1021/acsnano.5b03413
Nature Communications
巻: 6 ページ: 8052
10.1038/ncomms9052
Angewandte Chemie, International Edition
巻: 54 ページ: 10550-10554
10.1002/anie.201504656
Nature Nanotechnology
巻: 10 ページ: 569-570
10.1038/nnano.2015.142
Nucleic Acids Research
巻: 43 ページ: 6692-6700
10.1093/nar/gkv662
Scientific Reports
巻: 5 ページ: 14979
10.1038/srep14979
Chemical Communications
巻: 51 ページ: 9181-9184
10.1039/C5CC01678A
巻: 9 ページ: 3418-3420
10.1021/acsnano.5b01723
Methods
巻: 86 ページ: 4-9
10.1016/j.ymeth.2015.05.018
Biomacromolecules
巻: 16 ページ: 1095-1101
10.1021/bm501731f
Nano Research
巻: 8 ページ: 3764-3771
10.​1007/​s12274-015-0875-y
Nucleic Acid Theraputics
巻: 25 ページ: 245-253
10.1089/nat.2014.0524
Methods in Molecular Biology
巻: 1316 ページ: 169-179
10.1007/978-1-4939-2730-2_14
http://kuchem.kyoto-u.ac.jp/chembio/top_page_j.html