研究課題
本年度は、外部刺激に応答する分子デリバリーシステムを開発するため、内部空間を持つ3次元DNAオリガミ構造体を用いて、細胞表面との相互作用や細胞内部への導入と細胞内で構造変換できる系の構築を行った。多面体構造体に開閉機能を導入することで、細胞内へ導入し、構造体の変換の誘導や酵素機能発現、さらに細胞機能を制御する系の構築を試みた。DNAオリガミ法を用いて作成した八面体構造に光照射によって開閉できる光応答性DNA鎖を導入した。UV光の照射によって3次元構造体が開くように設計した。構造体の開閉はAFMによって確認し、蛍光消光によって照射時間に依存した構造変換が確認された。3次元構造体内部には遺伝子発現の制御用にCas9を導入し、光照射によって3次元構造を開くことで活性を発現できることを確認した。次に、作成した構造体をヒト培養細胞とインキュベートすることで、細胞内に導入されることを共焦点蛍光顕微鏡観察によって確認した。さらに、構造体の導入の確認された細胞にUV光照射を行うことによって、閉じた状態で消光されていた蛍光が増加することが確認された。このことから、光照射によって外部から細胞内に導入した構造体の構造変換を誘導できることが明らかとなった。さらに、細胞ごとにレーザー光照射をすることで、細胞特異的に構造体を開くことに成功した。これによって新たな分子デリバリーシステムのキャリアーとして使用できることが示唆された。一方で、球状、棒状など様々な3次元構造体を使った細胞導入を行い、形状に依存した導入を試みた。その結果、形状による大きな違いは見られなかった。以上のように、これらの開発した3次元DNA構造体を使用した分子デリバリーシステムを開発し、細胞内での構造変換など機能を発現させることに成功した。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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