研究課題
本研究の目的は、立体異性体の混合物として存在するホスホロチオエートアンチセンスDNA分子群の中で、生体内で医薬として最も有効に働く分子を選択し、そのリン原子の絶対立体配置を決定する手法を確立し、得られた立体化学情報に基づき、個々のインターヌクレオチド結合に最適なリン原子の絶対立体配置を有する高活性なホスホロチオエートアンチセンスDNAを独自の核酸分子合成手法を用いて創製することである。平成27年度は、チミン塩基を同位体標識したオキサホスホリジンモノマーの合成を完了した。デオキシリボース誘導体と5位メチル基と6位が重水素化されたチミンをグリコシル化して同位体標識チミジン誘導体を合成し、これを5’水酸基にジメトキシトリチル(DMTr)基が導入された3’水酸基が遊離のヌクレオシドに誘導した。さらに、3’水酸基をホスフィチル化してRp体のオキサホスホリジンモノマーを立体選択的に合成した。一方、既知の方法で合成した非標識チミジンを含むSp体のオキサホスホリジンモノマーと、Rp体の同位体標識チミジンオキサホスホリジンモノマーの等量混合物を用いて縮合反応を行うことにより、チミジンを含むRp-ホスホロチオエートと同位体標識チミジンを含むSp-ホスホロチオエートが混在する2量体を固相合成した。生成物を逆相HPLCで分析し、生成物の比からモノマーの反応性を見積もった。今後、Rp体とSp体が1:1で生成するモノマーの混合比を決定し、オリゴマーの固相合成を行う予定である。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画通り、同位体標識チミジンモノマーの合成を達成した。さらに、それを用いた縮合反応を行い、立体選択性、反応性を評価することができた。
本研究で開発を試みる新規手法の有効性を早い段階で検証するために、同位体標識が導入されたヌクレオシドのうち、まずチミジン誘導体を単独で用いて、その3’位に結合するホスホロチオエート結合の立体化学を最適化する実験を最優先で行うことを計画している。
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