研究課題
平成29年度にはまず、これまでに性能評価を実験室レベルで実施してきた亜酸化窒素ガスの超高感度検出センサーを実際に野外に持ち出し、安定的に動作するかを検証した。すなわち、実際の野外計測への応用にあたっては、外気温や湿度といった使用環境が変動することが予想されるため、そうした環境下においても問題無く動作するかを確認した。野外での動作試験運転は、滋賀県大津市にある京都大学・農学研究科が管理している桐生水文試験地にて実施した。このサイトを選んだ理由は、このサイトでは微気象要素や水文情報に関する長年のデータ蓄積があるとともに、現在でも微量ガスフラックスの測定をはじめとして様々な観測研究が実施されているため、亜酸化窒素センサーの性能評価に必要な環境パラメータが十分に備わっているためである。本研究課題における性能評価試験では、センサーを観測小屋内に設置し、外気および標準ガスを用いた。この結果、急激な外気温や湿度の変動に対しては、測定値の補正等が必要になるものの、実験室で評価された性能とおおむね一致する動作性能を得ることができた。そこで、29年度の後半は、28年度にあらかじめ作成した閉鎖循環型クローズドチャンバーを用いて、土壌からの亜酸化窒素放出特性を調べる試験観測を実施した。観測サイトは、小流域の斜面上に位置しているため、土壌中の地下水位や気象条件に応じて、好気的土壌から嫌気的土壌まで広く分布する。そこで、28年度に製作した三つのチャンバーを、異なる土壌環境の場所ごとに設置し、亜酸化窒素の放出特性の空間分布を得られるかどうかを吟味した。その結果、3つのプロットとも、亜酸化窒素の有意な放出も吸収も検出されなかった。これは、このサイトの林床の土壌表層における脱窒反応が効率的に進行していないことを示唆している。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Atmospheric Environment
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