研究課題
生体内物質や生物の非吸着性(非着性)材料は多くの分野で求められている。その対策として、固体表面に親水性ポリマー鎖を結合したポリマーブラシが知られている。我々は、ブロックコポリマーの表面偏析を利用して、Grafting-from法に匹敵する極めて高いブラシ密度のポリマーブラシを容易に作製できる動的ポリマーブラシ法を開発した。動的ポリマーブラシ法では、両親倍性ブロックコポリマーを低Tgのエラストマー中に分散させ、水接触時に自発的な表面偏析を誘起し、ポリマーブラシを形成させる。動的ポリマーブラシは、平衡に向かっての自発的な過程であるため、自己修復性を有する。これまでに、高密度ブラシの創製は確認されているが、動的な過程を含めたメカニズムは十分に理解されていなかった。本課題では、動的ポリマーブラシ形成の熱力学・動力学的機構を実験的・理論的に理解し、高速に形成する動的ポリマーブラシを創製することを目標に研究を行った。動的ポリマーブラシは、NRでは追跡の困難な短い時間スケールで形成することが予想されるため、時間分解能が高く、高感度の測定が可能なQuartz Crystal Resonator (QCR)により、水/ポリマー界面での動的ポリマーブラシ形成を追跡した。動的ポリマーブラシでは全質量は変化しないが、水界面で水と流体力学的に相互作用しながら振動するため、弾性波の反射条件が粘弾性的に変化するため、界面の構造情報が得られることを明らかにした。水中での水晶発振の複素周波数変化は、動的ポリマーブラシの粘度に敏感であり、低濃度から急激に増加する性質を示すため、動的ポリマーブラシの生成をより高感度に測定できた。その結果、生え変わりの時間は数十秒かそれ以下で起こり、極めて速い修復が行われることが明らかとなった。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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