研究課題
最終年度においては、単一分子局在化法による超解像光学顕微鏡観察によるアクリルアミドゲルのネットワーク鎖構造の直接観察に臨んだ。高分子鎖観察のためにローダミン誘導体で蛍光ラベルされたアクリルアミドモノマーを合成し、これを重合することで蛍光ラベルされたゲル試料の作製を試みたが、通常のアクリルアミドとは色素分子による影響のためか、通常のアクリルアミドゲルとは異なる物性を有するものであった。この際、ローダミン系の色素分子以外にもフルオレセインやカルボシアニンなど幾つかの分子構造の異なる色素でラベルされた試料合成を行ったが、いずれについてもゲルの合成に至ることはできなかった。そのため、蛍光ラベルしていないゲル試料に対してローダミン色素分子を含浸し、溶媒相が明るく観察されるよう試料作製を行うことで、ゲルの内部構造の可視化に成功した。超解像顕微鏡によって、40 nmの空間分解能での構造観察に成功し、ゲル内部に存在する溶媒相の構造を明瞭に画像化することができた。さらに、超解像蛍光顕微鏡観察を行いながら、同時に粒子トラッキング型マイクロレオロジーを行うことで、ゲル内部の不均一構造に相関した局所粘弾性測定を実現することを目指した。しかしながら上述のアクリルアミドの蛍光ラベルに時間を要したこととレーザー機器使用のための許可手続き(所属機関の規程による)から十分な時間をとることができず、観察システムの構築までは行うことができたものの、参照試料の観察にとどまり、本来目指していたハイドロゲルの局所ネットワーク構造と局所力学特性の評価には至らなかった。しかし、上記のように構造-物性相関を直接評価可能なシステム開発はほぼ完成したため、期間終了後も同システムを用いて継続して研究を行う。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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