前年度までに独立気泡と連続気泡のモルフォロジーをもつ発泡エラストマーの大変形挙動を比較してきた。しかし,独立気泡と連続気泡でゴム種が異なっていたため,厳密な意味でのモルフォロジーのみの違いを検討することはできなかった。本年度は(1)同一のゴム種で,独立気泡と連続気泡のモルフォロジーの試料を作製し,モルフォロジー由来のみに由来する差異について検討することを目標とした。また,(2)圧縮時の独立気泡エラストマーの応力-圧縮比関係が,エラストマー中の気泡の圧縮で支配されているという従来説について,空隙率の異なる試料について検討を行った。 (1)については,連続気泡のセル壁にはかなり硬いゴム種を入れないと自立できないことがわかった。このような硬いゴム種を用いると,逆に独立気泡の制御が難しくなり,マクロな力学測定に供する試料の作製は困難であった。 (2)について,前年度にある特定の空隙率のものについて同検討を行ったところ,非常に大きい圧縮領域を除けば,発泡エラストマーの応力-圧縮比関係が気体の状態方程式であるボイル則で記述できていた。同検討を空隙率を変えて行った。空隙率を変化させても,同様の傾向,すなわち応力-圧縮比関係がボイル則でおおよそ記述できることがわかった。このことは,独立気泡のモルフォロジーの発泡エラストマーの圧縮挙動はかなり単純であり,エラストマー中の気泡の圧縮挙動とみなすことができることを意味しており,力学的な物性予測は圧縮に関してはかなり容易であるといえる。
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