研究課題/領域番号 |
15H03869
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
川月 喜弘 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60271201)
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研究分担者 |
春山 雄一 兵庫県立大学, 付置研究所, 准教授 (10316036)
近藤 瑞穂 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70447564)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 高分子液晶 / 光機能性高分子 / 光配向 / 光応答性 / 外部応答液晶フィルム |
研究実績の概要 |
本研究では異なる特性を有する分子間での水素結合やハロゲン結合などの非共有結合、ならびに界面での縮合反応などにより高分子フィルムに光反応性メソゲンを選択的に導入し、外部刺激によって可逆的に脱着再結合、さらに界面光配向制御により機能性発現を制御できうる材料の創成を目指している。27年度は、異なる高分子-低分子の相互作用や縮合反応による新たな機能性の発現や機能性反応基を合成することに成功し、光配向の分野において新たな可能性を見いだすとともに、光配向の表面配向状態をNEXAFSにより詳細に解明した。主な成果は以下の3点である。 1:側鎖末端アルデヒドおよび低分子アミンの位置選択的(積層)界面縮合によってシッフベース基を選択的に形成することに成功し、その光配向挙動を詳細に解明した。 2:側鎖に水素結合性の置換基を有する光反応しない液晶高分子に、水素結合性の光反応性高分子を複合化することで、光配向性の付与を達成するとともに、その低分子を配向増幅時に除去することで非光反応性の分子配向フィルムの形成に成功した。 3:光架橋性の光配向性高分子液晶フィルムの配向状態(バルク状態の光学特性)がスペーサーの長さによって大きく異なるにもかかわらず、最表面においては、面内配向性が支配的であることをNEXAFSにより明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最表面状態の配向挙動の解明、および異なる分子の反応による新たな機能性反応基を導入したフィルムの創出において、側鎖末端アルデヒドおよび低分子アミンの位置選択的(積層)界面縮合によってシッフベース基を選択的に形成、光配向挙動を解明するとともに、光配向性高分子液晶フィルムの配向状態(バルク状態の光学特性)がスペーサーの長さによって大きく異なるにもかかわらず、最表面においては、面内配向性が支配的であることをNEXAFSにより明らかにした。また、水素結合による配向性メソゲンの形成を具現化した。 これらから当初の目標を十分に達成できていると判断される。さらに、本研究助成で購入したインクジェットプリンタによる、非光反応成功節液晶フィルムへの光反応性の付与や、表面における選択的配向性メソゲンの形成など新たな展開も見いだされ、微細描画による分子配向フィルムの形成に成功している。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、従来の研究計画に従って、機能性色素のその場反応による導入や、インクジェットプリンタによるその場反応や、フィルム厚さ方向への光配向性基の創出による3次元分子配向制御の実現を、これまでに見いだした系を用いて実現する。とくにこれまでに見いだしてきた水素結合性の機能性色素を用いて、光分子配向材料の3次元配向構造の制御と機能性材料の外部刺激による複合的な機能発現を目指す。
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