研究実績の概要 |
分散型エネルギー社会を構築するためには電気自動車の普及が重要な課題であり、その普及に資する高入出力型蓄電デバイス開発への要請が強まっている。本研究開発では、負極におけるイオン拡散抵抗の低減により、リチウムイオン電池の高出力化を目指した。 具体的な開発対象としては、金属導電性の層状化合物MXeneに着目した。MXeneは、一般組成式Mn+1XnTx(M: Ti, V, Cr, etc., X: C, N, T: 表面官能基, n = 1, 2, etc.)で表される。MXeneをリチウムイオン電池用負極として応用することで、リチウムイオン電池の高出力化が期待される。本年度では、コスト的優位性の高いMXene Ti2CTxについて、リチウムイオン電池の負極材料として評価した。 Ti2AlCからのAl層脱離は、LiFを溶解した希塩酸で処理することで行った。粉末X線回折から、Ti2C層間距離が6.8 Åから8.7 Åまで広がり、Al層の脱離、および表面官能基Tの修飾によりイオン挿入脱離に利用可能な層間空間が形成されたことが示唆された。 得られたMXene Ti2CTxについて20 mA/gで定電流充放電試験を行った結果、SEI形成に起因して初回クーロン効率は70%程度であったが、2サイクル目以降は250 mAh/gを超える可逆な充放電容量が、99%を超える高いクーロン効率で得られた。また、100サイクル後の容量維持率は77%であった。MXene Ti2CTxの出力特性を調べた結果、2000 mA/gの高速充放電条件下においても130 mAh/gの充放電容量を示し、MXene Ti2CTx電極の優れた出力特性が確認された。
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