層状化合物MXeneにおける電極反応機構を解明するために、様々なアルカリ金属イオンを含有する電解液中でキャパシタンスを調べた。その結果、従来型の活性炭電極とは異なり、アルカリ金属イオンの種類に大きく依存することが分かった。また、X線構造解析による層間距離の変化を調べたところ、溶媒和半径が大きなイオン程、層間距離が大きくなることが分かった。このことは、MXeneの層間に溶媒和したイオンが貯蔵されていることを示している。更に、層間距離が大きな系ほど大きなキャパシタンを示したが、この結果は、MXeneの電極反応が従来型のキャパシタ電極反応の理論式では記述できないことを示している。すなわち、一般的には層間距離が小さくなるにつれてキャパシタンスは大きくなると考えられているが、今回の系では傾向が逆となっている。そこで、電子状態計算、溶媒和構造計算、電位計算を行い、総合的な視点から電極反応を検討した。その結果、貯蔵された電荷間の誘電率が大きな変調を受けていることが分かり、特に、溶媒分子の永久双極子モーメントと外部電場が共鳴し、大きなキャパシタンスを示していることが明らかとなった。以上の結果から、MXeneをキャパシタ電極材料として用いる際に、キャパシタンスを最大化するための方法論を具体的に明らかにすることに成功した。今後は、実験と計算による協業を更に進化させ、構成元素や表面末端基がキャパシタンスに与える影響を精査し、更なるキャパシタンス増大への指針を得ることを目指す。
|