研究課題/領域番号 |
15H03876
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
鳥本 司 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (60271029)
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研究分担者 |
亀山 達矢 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (40646759)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 太陽電池 / 量子ドット / ナノ材料 / ヘテロ接合 / 低毒性半導体 / ダンベル形状 |
研究実績の概要 |
ロッド形状ZnS-AgInS2 固溶体半導体(ZAIS)ナノ粒子の末端に楕円球形状ZAIS粒子を成長させることで作製したダンベル形状粒子は、楕円球粒子のみよりも高い光触媒活性を示すことをすでに報告した。そこで本年度は、末端楕円球部分とロッド部分からなるヘテロ接合がType II構造であるかどうかを確認し、末端粒子の組成制御によってその電子エネルギー構造を変調し光触媒活性の向上を試みた。 ダンベル型粒子は、ロッド形状ZAIS粒子をZn、Ag、Inの金属酢酸塩およびチオ尿素を含むオレイルアミン-1-ドデカンチオールの混合溶媒中に溶解させ、加熱することで作製した。副生する楕円球粒子は、サイズ選択的沈殿法により分離し比較として用いた。 HAADF-STEMによりロッド/楕円球部分のヘテロ接合を観察すると、ヘテロ接合部分においても明確な格子像が欠陥なく続いている様子が観察され、ZAISロッド末端に楕円球部分がエピタキシャル成長したことが確認された。大気中光電子分光より、ダンベル形状ZAIS粒子のロッド/楕円球部分のヘテロ接合はType II構造であり、粒子中の光励起電子は楕円球部分に優先的に集まることが示唆されていたが、これを発光寿命測定から確認することができた。ダンベル形状粒子の発光寿命は、ロッド形状および楕円球状粒子よりも非常に長いものとなり、Type IIヘテロ構造粒子の特徴を示した。さらに合成する際に添加する金属酢酸塩の濃度比を変化させることで、楕円球部分のZAIS組成が異なるダンベル型粒子を作製することができ、末端の楕円球部分のZnの含有量の多いダンベル粒子の方が水素発生反応に対してより高い光触媒活性を示すことを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ダンベル形状ZAIS粒子を合成して、その末端楕円球部分とロッド部分のヘテロ接合がType IIであることを確認した。さらに末端粒子の組成制御によってヘテロ接合の電子エネルギー構造が変調され、ダンベル形状ZAIS粒子の光触媒活性が向上することを見出した。これらは、ほぼ研究計画に沿ったものである。
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今後の研究の推進方策 |
多元量子ドットを電極に固定して光電極とし、さらにその表面を異なる半導体で被覆してヘテロ接合を形成させ、光電変換特性の向上を目指す。得られた最適な光電極を用いて、新規量子ドット太陽電池の作製を試みる。
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