研究課題/領域番号 |
15H03877
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
深見 一弘 京都大学, 工学研究科, 准教授 (60452322)
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研究分担者 |
邑瀬 邦明 京都大学, 工学研究科, 教授 (30283633)
天野 健一 京都大学, 工学研究科, 助教 (30634191)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ナノポーラス電極 / 電気化学 |
研究実績の概要 |
ナノポーラス電極を用いた電気化学反応の基礎的な理解を目指し,ナノポアにおける金属析出反応の機構解明を進めた.ナノポーラス電極への金属電析については,Ptを例にした場合とZnを例にした場合について検討した. ナノポアにおけるPt析出においては,X線吸収微細構造スペクトルを放射光を用いて測定した.ナノポアにおいて,疎水性相互作用による表面誘起相転移が強く発現する条件において,Ptがアモルファス状に析出したのちに結晶化していく過程が観測された.Ptのアモルファスクラスターの形成は報告例が少なく,本手法によって特異的な析出状態が達成された. 一方,ナノポアでのZn電析においては,疎水性相互作用に起因する表面誘起相転移を積極的に発現させるために,Zn(II)イオンを多価カルボン酸アニオンと配位結合させるさせることにより錯体化させ,溶液のpHを制御して錯体の電荷がゼロとなるように系を設計した.その結果,マロン酸やクエン酸アニオンとZn(II)がゼロ電荷で錯体形成させることに成功し,その条件下においては,ナノポア内で極めて効率的に金属Znの析出が進行することを明らかにした.また,ここで得られた知見は,高速の析出を可能にするものであり,金属Znを負極に用いた次世代蓄電池への応用が期待されることを示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ナノポーラス電極における金属析出の機構解明は当初の予定を遥かに超えるペースで進行している.一方,ナノポーラス電極を用いた電位窓の拡大などの他の課題については,論文作成にまで至っておらず,少し遅れている.これらを考慮すれば,全体としては概ね順調といえる.
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今後の研究の推進方策 |
ナノポーラス電極への金属電析については,既にSPring-8で測定した結果があり,これを詳細に解析することを進める.一方,電位窓の拡大については,ナノポーラス電極における局所的なpH制御の可能性を明らかにし,隔膜を組み合わせるなどして,実用に供しうる設計を達成する.その他,理論解析などを積極的に検討し,実験と理論のフィードバックを積極的に行うことを目指す.
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